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人新世の展望 世代を超えたモラルが重要

2021年6月25日 10時26分

新しい地質時代区分として千葉県の名を冠した「チバニアン期(千葉時代)」が昨年誕生し、話題になった。地質時代は映画タイトルにも出てくる「ジュラ紀」や「白亜紀」などが有名だが、期は紀の二つ下位の区分で、正確に言えば顕生代・新生代・第四紀・更新世のチバニアン期ということになる。約77万年前に起きた地磁気逆転の痕跡を示す千葉県市原市の地層が命名の由来である。

現代は更新世に続く「完新世」の「メガラヤン期」ということであるが、新たに「人新世」という概念が最近使われるようになった。雑誌の特集や斎藤幸平氏のベストセラー『人新世の「資本論」』にも用いられ、それで知ったという人もいるかもしれない。学術用語としては学界でまだ最終的に定義が確定されていないようだが、これまで現代を含む地質年代として使われてきた「完新世」を区切る新たな年代として認める方向で進んでいる。

人新世をいつから適用するかは諸説あるが、人類文明の急速な進化が地球温暖化など自然に対して大きな(深刻な)影響を与えている実態を踏まえている。一般にこの語が使われるようになったのは21世紀に入ってからだろう。期の上位区分の「世」が用いられるのは、人類の活動が地球の歴史の中で重要な要因になったという認識があるためだと考えられる。

地質年代は天文学的距離・時間などと共に実感が伴いにくい膨大な数字を扱う。地球誕生を起点とする冥王代は約45億年前に始まり、太古代まで5~6億年続いた。近い年代ほど詳しい情報が多いだろうから、細かく分節化されるのは当然だが、それにしても「人新世」となると、我々が測る時間の尺度は短い。約1億1千万年間に及ぶ白亜紀などと比較し、人類の歴史はほんの一瞬である。

過去に生物種の大絶滅をもたらした現象と比較できる地質的痕跡をわずか数十年、数百年で地層に刻もうとしている人類文明の進化の速さに改めて驚嘆すべきか、ブレーキの利かない暴走を危惧すべきか。ただ地質年代として1万年前に始まった「完新世」に匹敵する持続を「人新世」に期待できるかといえば、どうも心もとない。

現代は5年、10年の範囲に関わる情報は溢れているが、そこに単なる欲望を超えた希望を見いだすことはなかなか難しい。人類が人類として存続する限りの人新世の延長を視野に収めた思想、モラルは必要だ。今・現在の利害関係を超越する価値を奉じる宗教の立場からそのことを強く説き、展望を示してほしい。

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