PR
購読試読
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
第18回「涙骨賞」を募集
PR
第18回「涙骨賞」を募集 翠雲堂

ヘルプマーク 支援する側が意思を示す

2021年7月7日 15時46分

赤地に白抜きで十字とハートを描いたシンプルなデザインのカードを携帯している人を見掛ける。「ヘルプマーク」と呼ばれるもので、援助や配慮を必要としていることをさりげなく周囲に知らせている。外部からは分からなくても、義足や人工関節、心臓のペースメーカーを使用している人、内部障害や難病のある人が、援助を得やすくなるよう作成されたピクトグラム(絵文字)である。

日本の鉄道にシルバーシート(優先席)が設けられたのは1973年9月の敬老の日。当初は高齢者への思いやりや譲り合いの意味合いが強かった。ヘルプマークは、より多様な障害への配慮と気付きを促す印で、東京都が2012年10月から都営地下鉄大江戸線で優先席へのステッカー標示を開始し、全ての交通機関や医療施設等に拡大した。他の道府県や市町村でも導入され、携帯カードと共に全国に普及している。

障害と経済を研究テーマとする経済学者の松井彰彦氏は、障害のある人が直面する「壁」は社会のゆがみを映し出す拡大鏡のようなものだという。隣接する問題をより大きく、はっきり見せてくれるからで、ここから学べることはたくさんあると言っている。

理論経済学で論じられる「情報の非対称性」は要支援者と健常者との間にも存在すると松井氏は指摘する。情報の非対称性は、もともと医者と患者との間にある情報量の非対称性として提起された。これがさらに「売り手」と「買い手」の間に存在する情報の非対称性として扱われ、情報の優位者と劣位者が持つ格差が様々な問題を引き起こすと説明される。このため格差の被害を受ける側のリスク解消や倫理的な公正性が問われることになる。

障害のある人が生活しやすい環境をつくるには、妨げとなる壁をなくす努力が必要である。松井氏はヘルプマークを、要支援者と健常者との間にある非対称性の問題を解決するものと評価しながら、それだけで完璧とは言えず、支援する側が「ヘルプできますマーク」を付けることで、双方が優劣のない立場に立つことができるかもしれないと述べている。

援助を必要とする人がヘルプマークを付けるのは、自ら弱者であることを告知する決断を伴う。それは無防備な自分を周囲にさらすことであり、自他の格差を他者に対して明示するサインとなる。援助する側が「ヘルプできます」の意思表示をすれば、双方が優劣のない立場に立てるという意味はそこにある。そうした視点で、この問題をもう一度考えてみたい。

因果論活用の限界 宗教的な共生の意志こそ10月15日

新型コロナウイルスの著効ある治療薬の普及はまだこれから。決め手はワクチンで、ファイザー社やモデルナ社などのワクチンが開発され接種が進んだ。最近、感染者数は激減したが、感染…

いのちは選べるか 生かすためになすべきこと10月13日

トリアージという言葉は、災害や事故、戦争などで多くの負傷者が出た際、救命の観点から、医療関係者が治療の優先順位を付けて負傷者を分類することを意味する。「いのち」に優先順位…

コロナの出口戦略 冒険するか安全策を取るか10月8日

ワクチン接種が広まり、人の流れがいったん減少してきたこともあって、コロナ感染者はひと頃より減ってきた。国民の多くは1年半以上も続いた自粛生活に倦んでいる。何度も出される緊…

「6月に伝教大師1200年大遠忌御祥当法要を厳かに営んだ」と報告する阿部宗務総長

寺院教会納金12%減額 天台宗通常宗議会 2年延期の収入額申告 新基準で24年度実施 阿部総長強調

ニュース10月15日
入山の心境を語る石附貫首

石附周行貫首が入山 「瑩山禅師700回忌の円成を」 大本山總持寺

ニュース10月15日
テープカットする千秋宮司(中央)と小串和夫名誉宮司㊨ら。左上のオブジェは大太刀を振るう真柄十郎左衛門

熱田神宮に刀剣展示館開館 草薙神剣の心伝える 国宝・重文含む450点所蔵

ニュース10月14日
このエントリーをはてなブックマークに追加