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ヘルプマーク 支援する側が意思を示す

2021年7月7日 15時46分

赤地に白抜きで十字とハートを描いたシンプルなデザインのカードを携帯している人を見掛ける。「ヘルプマーク」と呼ばれるもので、援助や配慮を必要としていることをさりげなく周囲に知らせている。外部からは分からなくても、義足や人工関節、心臓のペースメーカーを使用している人、内部障害や難病のある人が、援助を得やすくなるよう作成されたピクトグラム(絵文字)である。

日本の鉄道にシルバーシート(優先席)が設けられたのは1973年9月の敬老の日。当初は高齢者への思いやりや譲り合いの意味合いが強かった。ヘルプマークは、より多様な障害への配慮と気付きを促す印で、東京都が2012年10月から都営地下鉄大江戸線で優先席へのステッカー標示を開始し、全ての交通機関や医療施設等に拡大した。他の道府県や市町村でも導入され、携帯カードと共に全国に普及している。

障害と経済を研究テーマとする経済学者の松井彰彦氏は、障害のある人が直面する「壁」は社会のゆがみを映し出す拡大鏡のようなものだという。隣接する問題をより大きく、はっきり見せてくれるからで、ここから学べることはたくさんあると言っている。

理論経済学で論じられる「情報の非対称性」は要支援者と健常者との間にも存在すると松井氏は指摘する。情報の非対称性は、もともと医者と患者との間にある情報量の非対称性として提起された。これがさらに「売り手」と「買い手」の間に存在する情報の非対称性として扱われ、情報の優位者と劣位者が持つ格差が様々な問題を引き起こすと説明される。このため格差の被害を受ける側のリスク解消や倫理的な公正性が問われることになる。

障害のある人が生活しやすい環境をつくるには、妨げとなる壁をなくす努力が必要である。松井氏はヘルプマークを、要支援者と健常者との間にある非対称性の問題を解決するものと評価しながら、それだけで完璧とは言えず、支援する側が「ヘルプできますマーク」を付けることで、双方が優劣のない立場に立つことができるかもしれないと述べている。

援助を必要とする人がヘルプマークを付けるのは、自ら弱者であることを告知する決断を伴う。それは無防備な自分を周囲にさらすことであり、自他の格差を他者に対して明示するサインとなる。援助する側が「ヘルプできます」の意思表示をすれば、双方が優劣のない立場に立てるという意味はそこにある。そうした視点で、この問題をもう一度考えてみたい。

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