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いのちの重み伝える やまゆり園事件から5年

2021年7月28日 13時04分

相模原市の知的障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」で「障害者は不幸を作る」と主張する男によって入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負わされた事件から5年になるのを前に、26日の「犠牲者を偲ぶ会」の案内が来た。長年同園に勤務した元職員で、被害者らに寄り添ってきた太田顕さんらが惨劇を語り継ぐ活動をする「共に生きる社会を考える会」の主催で、今春に創刊された「考える会ニュース」も届いた。

ゆがんだ優生思想をむき出しにした犯行は、この社会の根底にある「役に立つかどうか」で人間を選別する風潮をあぶり出したが、その後も同様の差別や抑圧がなくならない一方で、事件の風化が懸念される。「忘れず、後世に伝える」ために毎月命日に施設前での献花を呼び掛け、勉強会など様々な取り組みをしてきた太田さんは「事件を防げず、入所者を守れなかった」痛恨の思いを抱き、それを自分事と捉えている。

それは勤務時代に入所者たちの互いに支え合う温かい人間性に触れ、自らを問い直した原体験からだが、障がい者を囲む社会を変革するには、管理主義に流れる行政・制度の壁、閉じ込め隔離する環境・建物の壁、そして最も大きな「人々の心の壁」が立ちはだかると訴える。そして、目指すのは「共生社会の創出」とする姿勢には、事件に注目し続ける各地の宗教者らにも共感が広がる。

だがこの5年にはいろんなことが起きた。東京パラリンピックの聖火をやまゆり園で採火するという行政の一方的な動きには、強い違和感を持った遺族たちから反対が起き、撤回された。当初声高に叫ばれコロナ禍で尻すぼみになった「復興五輪」と同様に、「障がい者問題」が政権浮上狙いの五輪・パラの言葉だけのPR道具にされるという危惧も強かったと伝えられる。

改修工事を終えた園には、8月から再び利用者が入所し生活する。その前の「偲ぶ会」ではドキュメンタリー映画「生きるのに理由はいるの? 『津久井やまゆり園事件』が問いかけたものは…」も上映され、遺族関係者が作詞した「やまゆり咲く里」という歌も斉唱された。「やまゆり咲く里…瞼浮かぶ 今日も涙…帰らぬ19のいとしきみ霊に…」と事件を正面から捉えた歌詞だ。

犯行にも触れ、「男はうそぶく 『か(彼)は人にあらず』 闇に沈むその心…かも母から生まれし者」と。そして、こう結ばれる。「『誰しも共に』と言うは易く 難し…叫びは救い 伝えたい心」

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