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自分らしい最期 中村医師の訃報で

2021年8月4日 15時06分

終末期医療や葬送問題に関する著作が多い医師、中村仁一氏の訃報がこのほど伝えられた。享年81歳。「死を視野に、いつ死んでもいいように今をしっかり生きる」がモットーで、京都で毎月主宰する「自分の死を考える集い」には多くは200人以上が参加し、25年計295回続いた。『大往生したけりゃ医療とかかわるな~「自然死」のすすめ』はベストセラーとなり海外でも翻訳された。

「治すのは自分であって医師や薬ではない」と常に無自覚な医療依存を戒め、医療の不確実性も指摘していたが、医療否定では決してなく、自らのQOL(生活の質)を維持するために自分の意思で“利用”すべきものだとの主張だ。終末期や葬儀など死後のことについても自己決定の重要さを強調し、自身は延命措置をしないと決めていたが、「死に方に良い悪いはなく、『尊厳死』などと安易に言うべきではない」とも訴えていた。

長年、特別養護老人ホームの診療所長として多くを看取った経験から「高齢者のがんは何も処置しなければ痛まない」が持論で、昨夏に肺がんと分かった際も、「これで良かった。死期が分かり準備できる」と話していた。家族によるとずっと自宅で過ごしながらQOLにこだわり、呼吸のつらさを緩和するための酸素吸入以外は一切の治療をせず、訪問客と談笑したり、娘さんの手料理を少しではあるが死の当日朝までうまそうに食べたりしていたという。

6月5日の夜に永眠したが、終末期の意識低下措置も断りながら安らかに息を引き取った。「生身の死」が身近ではなくなった現代社会で、「高齢者は自分の死にざまを若い人たちに見せるのが務め」と語っていた通りだったと遺族は明かす。氏の選択には当然いろんな意見があるだろうが、ポイントは自分らしさだ。病床で完成させた、まるで遺言のような最後の著『やはり死ぬのは、がんでよかった』もそれを物語る。

仏教に造詣が深く、準備した現代語訳般若心経を身内だけの葬式で家族が読み上げた。生前、環境や資源保護に配慮した段ボール製のエコ棺桶を推奨し、自らも自宅に備えて毎年正月に入っては「自分の死」を思い浮かべて一年の計を立てるのが習慣だった。葬儀でもその棺に納まったが、火葬場で受け入れられないと分かり、遺族が仕方なく出棺時に普通の棺に移した。常々「希望通りに入れてくれないと化けて出る」とユーモアたっぷりに言い残した氏の言葉を思い、「本当に出てきてくれたらうれしい」と肉親や友人が惜しむ、そんな死だった。

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