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寺を「安心の場」に 要医療者向け避難所始動へ

2021年8月20日 10時36分

最も困った時、最も大変な人のために寺を役立てられるか? そのような発想で、大阪市内の市街地にある浄土宗願生寺の大河内大博住職がユニークな災害対策プロジェクトをスタートさせる。地震や台風などの災害時に、高度な医療的ケアを常時必要とする人の専門避難所として寺を開放するという「ニーズ特化型避難所モデル」だ。

対象はALSやパーキンソン病などの重症患者、人工呼吸器などをつけていたり、在宅で寝たきりになっていたりする高齢者ら。現実には我が国に災害の際にそういう人々が入れる避難所はほとんど存在せず、非常時は病院頼みにならざるを得ない。今回のモデルは極めてシンプルな構想だが、地域における先進的なリーディングケースとなる。

東日本大震災などで支援活動に従事し、毎年各地で相次ぐ災害を目の当たりにした大河内住職は、公共性のある寺を防災に活用するため、既にある学校や公共施設の避難所という「公助」の隙間を埋める役割を考えた。元々、寺を地域に開くという理念で様々な取り組みをしてきたからこそ出てくるアイデアだが、一般の被災者向けには全国で宗教施設が行政と防災協定を結び、災害対策物資を備蓄するなどの動きは広がっており、「そこで救いきれず取り残される人は?」という観点から「特化型」に行き着いた。

背景には同住職がスピリチュアルケアの専門家として長年、病院でチャプレンを務め、また現在は寺として地域への訪問看護ステーションを運営するなど医療関係に幅広いネットワークを持つという事情がある。だがこれは、そういう特別な条件を満たす願生寺だけの試みにはとどまらない。現実の災害時の対処法はケース・バイ・ケースだが、工夫次第で多くの寺院が同様の特化型避難所を担うというモデルケースとして確立させることも狙いだ。その幅の広さから、仏教者の社会貢献活動を支援する浄土宗ともいき財団による助成も決まった。

今後、防災専門家のコンサルティングを受けながら災害時の運用のシミュレーションや医療的ケアを必要とする地域の人々への情報提供ルートの構築、役所や医療機関、地域包括支援センターなどとの連携に向けて検討を進める。日常から檀家参りやステーションの仕事での患者宅訪問で要医療者に接する大河内住職には、その人たちの顔が見えている。そして語る。「単なる建物、風景ではなく、何かあった時に頼りになるというのが寺の役割ですから」

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