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アフガン情勢 憂慮すべき聖典の恣意的解釈

2021年8月25日 10時28分

タリバンがアフガニスタンの政権を武力奪取した。タリバンの広報官は、記者会見で社会での女性の権利をイスラム法の範囲内で保障すると述べた。しかし、国営放送の女性キャスターが出社を拒否されたり、街では広告の女性の顔が黒く塗りつぶされたりと、早くもそれと裏腹の事態が起こっている。また、反対デモには発砲し、多数の死傷者も出て、国を脱出しようと大勢の市民が空港に殺到するありさまだ。

タリバン政権は民主主義を採用しないと宣言した。民主主義は市民の平等で自由な参加を前提とした政治体制であり、多数決原理と少数者の権利擁護を共に含んでいる。これを採用しない場合、独裁政治もしくは寡頭政治になってしまう。タリバンは、自分たち宗教指導者層による寡頭支配を目指しているのであろうか。

ここで注意すべきは、民主主義とは共産主義や資本主義といった「~イズム」というイデオロギーではないことだ。民主主義とは、原語のデモクラシーから言って、本来それは「~クラシー」という政体の在り方を意味する。だから本来は民主政体、民主制と訳した方が正確であり、これに対立する政体として独裁制や貴族制などがある。

この意味での民主主義は現代の普遍的価値として定着している。これを否定する政権の下では、意見の対立する人々の権利は蔑ろにされる。市民が声を上げようとしても、武力で押さえ付けられる。そのため政情不安が増大し、難民の問題も生まれてくる。アフガニスタンはいまや、シリアやミャンマーと同じ危機に直面していると言えよう。

しかし、これらの国以上にアフガン情勢が憂慮されるのは、タリバン政権がイスラム原理主義を掲げていることである。彼らは宗教の教えを盾に取って政治を行おうとしている。クルアーンは本来、イスラム法学者による多様な解釈を許容するものだが、タリバン政権の言うイスラム法はあくまで彼らに都合良く、狭く固めて解釈されたもののようだ。そこに見られるのは恣意的な聖典解釈である。

いわゆる宗教原理主義の問題は、聖典を尊重してそれを字義通りに受け取っているつもりで、実際には聖典を手段化し、都合良く利用しているところにある。しかし、どの宗教も普遍的宗教を標榜する限り、その聖典が一部の人間だけに好都合な教えであるということは決してないのだ。それは万人に開かれているが故に、人類の普遍的価値観に適合する。当然それは民主主義にも合致するものなのである。

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