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文明の折り返し点 欲望の無制限解放の果て

2021年8月27日 13時47分

戦後76年たった。さらに76年をさかのぼれば明治維新の動乱期に当たる。なんとか近代化を果たした日本は、それ以降多くの戦争を行ってきた。まずは内戦で西南戦争、それから日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦、満州事変、日中戦争、太平洋戦争である。

明治維新には列強の日本植民地化を阻むための近代化という意図があった。明治時代以降は国家の安全と繁栄を保障するのは軍事力の増強と領土の拡張であり、日本にない資源を確保する必要もあるというので、半島と大陸の植民地化と南方の支配を意図した結果、開戦と敗戦に至った。「剣によって立つ者は剣によって滅びる」の言葉通りになったわけだ。

戦後の日本は戦争を放棄したため、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争や中近東への武力介入に直接参加せず、ひたすら経済大国への道を進んだが、高度経済成長を遂げた。一時は国民総生産世界第2位というところまで成長したものの、高度成長が土地バブルで破綻して以来、低成長に甘んじている。原因は内需が増えないためだというが、それは賃金が低く抑えられていて、将来に不安を抱く国民が消費より貯蓄を選んだからだともいわれている。

しかし経済成長率の低下は先進国一般に見られることだ。そこには経済成長が環境破壊を招くことが常識となり、特に地球温暖化による異常気象はもはや無視できなくなったという事情もあるだろう。世界規模での人的交流の増加が感染症蔓延の絶好の温床になっていることも明らかになった。

前世紀中葉までは世界的に経済成長が諸善の根源とされたものだが、現在ではそれが誤りであることが明らかになってきた。戦前の日本の歩みが軍事力の増強とその破綻であったとすれば、戦後の歩みは高度経済成長とその鈍化だということだろう。

強欲資本主義という言葉がある。しかし顧みれば人間尊重というルネサンスと、経験的知識を増やして生活に役立てようとした啓蒙主義とを経た近代という時代は、市場の自由化が繁栄の基礎であるという原則を立て、事実上欲望の無制限の解放に至ったのだ。法のみによらず道徳と宗教で秩序を守ろうとした古代以来の文化は、西欧だけではなく中近東にもアジアにも存在したのだが、次第に放棄される運命を甘受している。

それはなぜか。理由は単純ではあるまいが、宗教が古代的伝統を守って近代化を怠り、近代人のこころをつかむことができなくなっていることは事実である。

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