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翠雲堂

急がれる支援策 困窮するヤングケアラー

2021年9月3日 14時08分

家庭などで家族の介護や世話に追われる「ヤングケアラー」の問題が最近、注目されている。多くのメディアで取り上げられ、厚労省と文科省が支援策の方向性などを盛り込んだ報告書を発表した。

病気や障がいがある親や高齢の祖父母を支えたり、親がいないか、あるいは役割を果たさない親に代わって年下のきょうだいなどの面倒を見たりする若年層で、まだ社会全体における実態は明らかでなく、公的な支えもほとんどない。国の調査は学校を通じて中学2年、高校2年約1万4千人(有効回答数)を対象に実施され、4~6%が該当すると判明した。

これは1学級に1、2人という高率だが、調査自体がネットによった方法や対象の限定などで幅が狭く、実際に回収率も極端に低かった。それでも、回答者の多くが「かわいそうな子だと思われたくない」と助けを求めることさえしないことが分かり、学校は「把握しにくい」というのが実態だ。

ヤングケアラーの語は世間でも、当の青少年にも認知度が低い。「頑張っている子」という間違った明るい印象を与えるという疑問も指摘される。国の用語「若年介護者」や、あるいは児童福祉法を援用して18歳以下を対象とすると、トイレや入浴介助以外の家事労働や20歳代以上が抜け落ちてしまう。支援制度が進む海外から導入された英語だが、「介護」より幅広く精神的寄り添いも含めた「ケアラー」の語には、漠然と想定されていたものに呼び名が付くことで当事者も自分の置かれた立場に気付き、社会で問題点が顕在化するという意義がある。

例えば下の子の子守りなど、高齢層には「そんなことは昔から当たり前」との感覚もあるようだが、そうした青少年が貧困に追いやられ、学業も、クラブ活動など生きる喜びも断念せざるを得ないという事実を知れば、放置はできないだろう。支援策にしても、病気の親に対する介護保険の適用はあっても、下校してから翌朝までその親や弟妹の世話に追われて疲れ果てる生徒に対しては、その子の洗濯物や食事作りにヘルパーがタッチすることさえ制度上できない。

檀家や信徒の家庭事情を知る立場にある地域の寺院や教会などの宗教者は、苦しんでいるケアラーに声を掛ける、あるいは具体的手助けは難しくともせめて“SOS”の声をどこか支援機関につなぐということができるのではないか。これからそれがますます重要な社会的課題となる中で、教団もそういう取り組みをバックアップするような助成措置などを設けてもいいのではないか。

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