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子育てが難しい国柄 少子化の根底に社会への不安

2021年9月8日 12時20分

人の営みの最もシンプルな形は子を産み、育てること、といわれる。子どもが生まれないと、いくら文明が発展しても社会は持続できないからだ。経済効率至上で右肩上がりの繁栄を追求する現代人に世の摂理を説く文脈での語りである。

もとより子を産む、産まないは個人の自由だ。一方で、日本は少子・高齢化を国難とし、安心して子を産める環境整備が早くから求められてきた。しかし、少子化トレンドは容赦がなく、今年の出生数は想定より約10年も早く80万人台を割る可能性があるという。人口減に拍車がかかっている。

新しい命の誕生に国を挙げての努力が必要だ。だが、日本のメダルラッシュに沸いた東京五輪の余韻が残る8月半ば、千葉県でコロナに感染した妊婦の搬送先が見つからず自宅で早産し、新生児が死亡した。「安心・安全」という言葉を聞かぬ日はなかったが、小さな命一つを救えなかった。

幾つかの不運が重なったとはいえ、妊婦がたらい回しされるケースは以前から相次いでいた。コロナ感染の妊婦受け入れには他部門の専門医との連携が必要で、医療側の困難さは分かるが、出産という難事に心遣いが足りない国柄の一端をのぞかせた印象が強い。

現に千葉の事故を契機に感染妊婦の救急搬送の「目安」づくりや医療機関の診療報酬の加算、妊婦へのワクチン優先接種などの対策が泥縄的に打ち出されている。

この問題を考えるとき、全国で産婦人科・産科が過去約30年間、毎年減り続けてきたことを思い起こす。少子化や医師らの過酷な勤務、訴訟リスクなど数々の要因があるが、有効な手だてが講じられていない。希望する地域に出産施設がなく「出産難民」という言葉も生まれた。コロナに感染し自宅療養している妊婦は増えており、千葉の事故が「人ごととは思えない」と不安を募らせている。

各種の調査によると日本は他国に比べ出産も育児も難しい国だ。教育費が高い、夫の長時間勤務などで妻の負担が重い、社会が子どもに非寛容であるなど、数々の理由が挙げられる。非正規雇用が4割を占め、生活難による晩婚化も主要な問題だ。そこに周産期医療も加わる。保育所の待機児童を解消したら済むことではない。

結局、少子化は社会に対する不安が大きな要因ということだ。近年、国や自治体が「安心」を安売りしている。だが、人の心の問題である「安心」を語る政治の言葉はとても軽い。その軽さが人々を「安心立命」「安心決定」の境地から遠ざけているのではないか。

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