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いまも消えぬ悲しみ 犠牲者遺体捜し続ける遺族

2021年9月10日 12時36分

9月11日は東日本大震災発生から125回目の月命日。だがこれは10年半という“区切り”などではなく、肉親を亡くした遺族や被災者の悲しみや苦しみはなお続いている。最多の死者・行方不明者が出た宮城県石巻市でずっと犠牲者の供養を続ける浄土宗寺院の住職はそう語る。

寺近くで住職が月命日など折に触れて読経に通う市立大川小の廃虚。津波で児童74人らが命を落とした現場近くでは、行方不明でまだ遺体が見つからない我が子を自力で捜索し続ける遺族たちがいる。炎天下でも真冬でも、「せめて骨のかけらでも」と地面を掘り起こす姿は、10年を過ぎても時間が止まったままであることを物語る。

学校跡では市の震災伝承施設が7月に開館してきれいに整地されたが、「捜索している人がいるから周辺整備が進まない」との行政関係者の言葉に遺族らが心を痛めた。校舎内外の捜索はずっと以前に終えているのだ。住職も、現地に来たこともない知人が「捜すのはもういいだろう」とSNSに書き込んでいるのに愕然とした。

被災地では、自ら潜水士の免許を取り、沿岸の海中で行方不明の娘を捜し続ける父、妻を捜す夫がいる。「前に進まないようにしている。進むと思い出が遠くなるから」の言葉は針のようだ。10年が過ぎても、同県東松島市の海岸で見つかった遺体が近くの61歳の女性と判明した例もあり、県内の不明者は1200人を超える。

一方で、仙台高専の研究グループが自動走行式の地中レーダー搭載ロボットを捜索活動用に開発。以前に大阪からボランティアに赴いた青年が大学を中退して念願の海上保安官になり、潜水士として福島海上保安部で不明者の海中捜索を志すとの報道もあった。宮城県警も、そして原発事故による強制避難で当初の捜索活動が阻害された福島県警も、これまでの月命日だけでなく機会を捉えて不明者捜しに継続的に取り組んでいる。

同県警が「不明者のご家族の思いをくみ取って、1人でも多くの手掛かりを見つけたい」と言うように、事件事故災害処理という業務上の任務というだけではないだろう。自らも被災し家族を失った警察官も多い中で、「絶対に見つけるという強い意志を持って」との警察署長の言葉がそれを物語る。これは震災だけでなく相次ぐ他の災害でも同じことだ。

石巻の住職は「子供を亡くした親御さんは捜索が心の拠り所。つらい胸の内を聴いて差し上げるのが僧侶の務め、しっかり向き合うのは人として当然です」と語る。

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