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翠雲堂

「テロとの戦い」の錯誤 宗教者の平和活動の意義

2021年9月17日 10時25分

アメリカ同時テロから20年経った。米軍がアフガニスタンから撤退し、米軍が駆逐したはずのタリバンによる政権が復帰した。米国は「テロとの戦い」を掲げてアフガニスタンを攻撃し、軍事的庇護下で新政権を樹立したはずだったが、結局、その政権は無に帰した。オサマ・ビン・ラディンは殺害されたが、その成果の裏には多くのアフガニスタン住民と米軍兵士の犠牲があった。成果に比して犠牲はあまりにも大きい。

こうした米国の報復攻撃の錯誤はイラクでも起きている。アフガニスタン攻撃に続いて行われた2003年のイラク攻撃は、フセイン政権の大量破壊兵器所持を名目としたが、それは誤りであることが明確になり、米国と行動を共にした英国のブレア元首相もそれを認めざるを得なかった。日本政府は1991年の湾岸戦争以来、米国が呼び掛ける有志連合に加わることをよしとしてきたが、それがどのような結果をもたらしたか、その判断の妥当性を十分に検証する必要があるだろう。

一方、この機会に9・11以後、日本の宗教系組織がまったく異なる対応を取ってきたことを思い起こしておきたい。70年に設立された世界宗教者平和会議日本委員会、81年設立のシャンティ国際ボランティア会、93年設立のアーユス仏教国際協力ネットワークなどはアフガニスタンの人道支援・民生支援に取り組んできた。

もっと世に知られているのは、83年に設立された国際NGOペシャワール会の故中村哲医師である。キリスト教徒の中村医師は日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)から派遣され、当初はパキスタンとアフガニスタンで医療支援に取り組み、やがて住民との交流の中から民生支援・農業支援を展開、現地で多大な信頼を得た。2019年12月に何者かの銃撃により殺害されたのは痛恨のことではあるが、中村医師の活動はアフガニスタンの多くの人々に長く記憶され、平和への偉大な貢献として世界の多くの人々にも知られ、良きモデルとして学ばれていくことになるだろう。

アフガニスタンの今後については分からないことが多い。しかし、日本のみならず世界の宗教者が積み重ねた平和のための忍耐強い地道な活動は長く記憶されていくだろう。冷戦時代以降、宗教が対立をあおる方向で働いた面が多々あったと思われるが、このように宗教が関わる支援活動が平和に貢献した力を忘れないようにしたい。宗教は人類社会の希望に関わる発信の役割を確かに持っているのである。

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