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欲望と宗教心 仏性は自覚されて働く

2021年9月22日 11時40分

欲と願いとはほとんど同義に用いられることもあるが、欲は物欲、名誉欲、愛欲のように用いられ、願いは平和への願い、真実が明らかとなる願い、無病息災への願いのように用いられ、区別されるのが元来である。願いに決心が加われば、仏教徒にはよく知られている四弘誓願という語になる。すなわち欲は悪いことで願いは善いことという含みがある。

しかし欲と願いには共通する点もある。自我を動かすものには外からの圧力もあるが、内からの促しもあり、欲と願いは共に後者に属する。義務感もまた同様である。

ところで内にあって自我を動かすものは、一般に、意識されて初めてはたらくのであって、先に列挙したものもそうだが、自分の可能性を発展させるという大切な営為においても、まずは自分の可能性に気付くことが必要なのである。教育の大きな役割はここにあるといっても過言ではない。

宗教の場合も同じで、道元は仏性が具足するのは悟りと同時だという。一切衆生にはことごとく仏性が備わっているといっても、それが十分にはたらくのは悟りにおいてだというのである。仏心は自覚されて、すなわち意識に現れて、現実となるのである。

他方、意識されないままの欲望がある。その場合、欲望は形を変えてあらぬ方に人を動かすことを発見し、それを例えば強迫神経症やヒステリーのうちに見たのはS・フロイトだ。彼の説が一時はもてはやされながら、やがて下火になったのは、彼のリビドー一元論が行き過ぎだと見なされたせいもあるけれども、そもそも自我が無意識によって振り回されるという把握が理性的人間の尊厳を冒すと(不当にも)感じられたせいもあるだろう。

一方、C・G・ユングは抑圧された無意識の願望というより、現代人の意識下に隠されてしまった古代的心性のはたらきが夢などを通して自我に現れると考えたが、いずれにしてもこのような無意識のはたらきの存在は認める必要があるだろう。

現代人の場合は自意識が発達し過ぎて、自意識に反する心性は抑圧される傾向が著しい。人間の宗教心も例外ではなく、清らかな優しいこころや平和への願い、真実への希求などは、勝つこと、もうけること、楽しむことへの現代人の「欲」によって意識から排除されてしまう傾向が著しい。

仏心の願いは現代人の思考と欲に妨げられて意識に上り難くなっている。仏性は自覚されなければ十分にはたらかないのである。

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