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テロ・暴力と信仰 背後に潜むものの究明を

2021年9月29日 12時26分

9・11から20年。2機の飛行機が突入したことで崩壊したニューヨークのツインタワー跡一帯は現在、国立の記念館・博物館になっている。メモリアルサウスプールには、犠牲になった人たちの名前が刻まれ、すぐ横にある博物館には、崩れ落ちた建物の一部が展示され、事件の衝撃を伝えている。

当時のブッシュ政権はこの同時テロはアルカイダによって計画されたと断定した。首謀者と目されたビン・ラディンは、2011年に米軍により殺害された。事件後、アメリカ社会ではイスラム教徒に対する風当たりが厳しくなった。こうした社会的な反応は避け難い面があると言えても、宗教に関わる人たちにとっては、目を背けてはならない側面がある。

それはイスラム教が主たる宗教となっている中東に住む人々への米国の理解の偏りである。タリバン問題にも同じことが言え、この点を反省する米国のメディアの動きも見られる。不幸にして19年にアフガニスタンで命を奪われた中村哲医師は現地の人の目線に立ち活動を続けた。何が人々を争いやテロに追いやるのか。貧困や生活基盤の脆弱さなど、根本的な問題を見据えていたことが知られる。

日本ではオウム真理教による地下鉄サリン事件後、宗教団体によるテロという側面がクローズアップされ、その再発を防ぐための監視は一応継続されているものの、事件の背後にあった根深い問題への関心は急速に薄れている。

事件直後はその背後にある問題の重要性を指摘する人たちもいた。なぜ、荒唐無稽と思われるような教義に理系の学生さえも惑わされたか。なぜ信者たちは伝統仏教ではなく、オウム真理教に目を向けたのか。殺人さえ宗教的目的のために許されるという考えが現代日本で力を持ったのはなぜか。宗教研究者はその危険性について注意を喚起せず、中には持ち上げるような人がいたのはなぜか。

これらは時間の経過とともに薄れ、後継団体の活動が団体規制法に抵触していないかどうかだけがチェックされる。後継団体の活動を肯定的に評価するような宗教研究者も現れ、事件を教訓にしようとする姿勢は乏しい。

宗教がテロや犯罪を助長するような作用をするのはどういう場合か。信仰が他者の命を奪う行為を支えるのはなぜか。宗教が関係しているなら、国内のみならず遠い国外で起こった問題まで、その背後に潜むものに思いを致さなければなるまい。悲惨な事件はそれを検討する手掛かりを幾つか与えているはずだ。絶えずそれを探していく作業が不可欠である。

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