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コロナの出口戦略 冒険するか安全策を取るか

2021年10月8日 12時15分

ワクチン接種が広まり、人の流れがいったん減少してきたこともあって、コロナ感染者はひと頃より減ってきた。国民の多くは1年半以上も続いた自粛生活に倦んでいる。何度も出される緊急事態宣言にも危機感を覚えず、逆に経済活動の低下を懸念する声が日に日に高まっている。

一方、これまでロックダウンなど強硬な抑え込み策を取ってきた欧米諸国では、打って変わって、一定数の感染者が出るのを想定して、積極的な規制緩和策を打ち出すようになった。日本でもこれに倣った出口戦略を取れという意見が上がっている。こうした勇ましい意見は、確かに人々の耳目を引き、同調者も増えてきている。

だが、ここで少し考えてみよう。勇ましい意見は、理念や理想として掲げる分には良いが、それをそのまま現実に移そうとなると危ういところがある。なぜかといえば、どうしても社会的に弱い立場の人たちが犠牲になる可能性が高いからである。それでなくとも、我が国では自宅療養という名の感染者の自宅放置など、医療崩壊が社会問題になっているのだ。

日本の諸宗教は、これまでコロナの感染拡大防止のために、宗門行事や教団活動を中止や延期、もしくは縮小やオンライン開催にして、可能な限り安全策を取ってきた。そのために、寺院や教会はその運営に大幅に支障を来すなど、伝統仏教も新宗教も身を切るような対応が続いた。

そうした安全第一の姿勢は、時に慎重すぎるような印象を与えるかもしれない。ごく一部の宗教施設は安全策を取らず、クラスター感染を発生させてしまった。しかし、全体としてみれば、日本の諸宗教は大過なくコロナの感染拡大を乗り切ってきたと評価しても良いのではないだろうか。ここまでやってきたのだからと、早期の活動再開を望む声は宗教界の中にも見られる。

ただし、ここで気をいったん緩めてしまうと、また次の感染拡大の波が起こる恐れがある。また、大胆な規制緩和策を取れば、どうしてもある程度の犠牲を伴うことが予想される。1人や2人の犠牲者が出てもやむを得ないから、各種行事を早急に再開するという冒険は、少なくとも宗教界にはしてほしくない。

犠牲者は社会で弱い立場に置かれた人々から出てくる。だが、宗教は本来、何よりもそうした立場の人々をこそ大切にしなくてはならないのだ。それ故、我が国の宗教界に求められるのは、どこまでも慎重に徹した姿勢でコロナ対応を進めていくことではないか。

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