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第18回「涙骨賞」を募集 翠雲堂

いのちは選べるか 生かすためになすべきこと

2021年10月13日 10時16分

トリアージという言葉は、災害や事故、戦争などで多くの負傷者が出た際、救命の観点から、医療関係者が治療の優先順位を付けて負傷者を分類することを意味する。「いのち」に優先順位を付け「選別」するというマイナスイメージで受け止められがちだが、助かる命を助けるための、やむを得ない緊急措置であるという本義を外してはいけない。コロナ下の医療逼迫の状況でトリアージが治療を後回しにする印象を強めたのは、行政のコロナ対策の不備に原因があると言わざるを得ない。

日本では4色タッグで搬送・救命処置の優先順位を識別する基準が決まっている。①赤=最優先治療群「生命を救うため直ちに処置を必要とするもの」②黄=待機的治療群「基本的にバイタルサイン(生命兆候)が安定しているが早急に処置すべきもの」③緑=保留群「専門医の治療を必要とせず外来処置が可能なもの」④黒=無呼吸群「死亡または生命兆候がなく蘇生の可能性のないもの」――となっている。

救命の見込みのある患者を優先して治療し、最大多数の人命を救助することを目指すという意味では、医療資源の効率的配分という合理性が働いていることは否定できない。そのため、様々な現実に直面する医療従事者にとって、トリアージは厳しい覚悟を伴う判断となるのは確かだろう。

人は人の命を選別できるのかという問題は古くからある。日常生活の中で「いのちの選別」に遭遇した事例として、1912年にイギリス船籍の豪華客船タイタニックが北大西洋上で氷山に接触して沈没した海難事故で、船長が女性と子どもの優先避難を命じた行動は有名だ。タイタニックの生存率は女性が74%、子どもが52%、男性は20%だった。老若男女を乗せたボートが遭難したとき、誰を助けるかという選択肢は一つではない。ボートをこぎ続けることができる体力のある男性、将来のある子どもと女性を残すといった判断もある。

一人の犠牲が多くの人命を救った北海道の鉄道事故が三浦綾子の小説『塩狩峠』で知られる。名寄駅から札幌駅へ向かう汽車が塩狩峠の頂上に差し掛かる途中、最後尾の連結が外れて車両が暴走し、乗っていた若いクリスチャンの男性が飛び降り列車の下敷きとなったが、残る乗客は全員助かった。

万人に等しく与えられている命を誰かが奪い取ることは許されない。しかし共に生かされ続けることの難しい状況に直面することがある。その時は、ぎりぎりの判断を覚悟しなくてはならない。

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