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第18回「涙骨賞」を募集 翠雲堂

因果論活用の限界 宗教的な共生の意志こそ

2021年10月15日 13時27分

新型コロナウイルスの著効ある治療薬の普及はまだこれから。決め手はワクチンで、ファイザー社やモデルナ社などのワクチンが開発され接種が進んだ。最近、感染者数は激減したが、感染予防は完璧ではなく、接種が進んだ地域でも新しい感染者が出る。

対策がないのではない。人が集まらなければ感染は止まると分かっていても、外出を禁止すれば社会生活が成立しない、つまり感染拡大の原因はウイルスの側だけではなく、人体の反応や社会生活が関与している。

このような場合、しかるべき方法によれば目的が達成されるという因果論的な対策は極めて困難である。因果論とは、基礎はPならばQだという捉え方である。これを逆にすれば、Qを得るためにPを設定すればよいことになる。これは普遍的な考え方だが、実は操作と利用のための枠組みである。

自然科学領域では因果性の発見が相次ぎ、技術に応用され、さらに経済システムに組み込まれて、文明は大いに発展した。ところが人間社会が関わる領域では、因果を確定して目的達成に応用するという方法は必ずしも通用しない。生物の領域、特に人間社会では、関係が相互的で自由が介在するからである。

20年前、ニューヨークで世界貿易センタービルへのテロ攻撃があった。米国は首謀者がビン・ラディンであると断定、彼を引き渡さないアフガニスタン政府を軍事力で倒し、新しい政権をつくった。さらに大量破壊兵器を隠し持っているとしてイラクを攻撃、サダム・フセインの処刑に至った。

米国は圧制を除去すれば民主的政府が成立すると因果論的に考えたのだという。太平洋戦争では米国は成功した。軍部の圧制を除去すれば日本は民主化すると予測し、実際そうなった。しかし中近東は同じではなかった。タリバンの執拗な抵抗が続き、新政府にはタリバンと戦う意思がないというので、米軍はアフガニスタンから撤退する羽目に陥ったのである。

自由を本質とする人格の領域では、はたらきかけに対する反応の一意的予測ないし強制は不可能だから、一般に政策は成功するとは限らない。米国のテロ対策は正当だったとしても、他者に自分の理念を押し付けるのは問題であった。

元来宗教では知識の因果論的な応用より共生の意志と創造的な知恵が重んじられた。しかし知識をもっぱら他者の操作と利用のために使う現代では、宗教的な共生の知恵は忘却されてしまったように見える。

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