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卵子凍結 いのちを豊かにする技術?

2021年11月24日 11時05分

卵子凍結という技術が普及しつつある。将来、妊娠するために若い間に卵子を凍結しておき、いざ子どもを産みたい、産めるとなった時に融解して、体外受精で妊娠するというものだ。

その前提には、高齢で出産しようとすると卵子の機能が落ち、流産や障害者が生まれる可能性が高くなることが明確になってきた、ということがある。日本は不妊治療が多くなされ、しかも成功率が低いことで際立っている。それは出産年齢が高く、能力が落ちている卵子を用いざるを得ないことが大きな理由だという。

2010年代に入り卵子凍結の技術が実用化された。早い時期に卵子凍結をすれば、不妊治療で苦労せず、後から妊娠しても健康な子を出産する可能性が高くなる。キャリアを積んでから出産したい、あるいは相手が見つかる前に元気な卵子を凍結しておきたいという理由で、健康な女性が卵子凍結する例が増えてきている。

これは病気ではないのに医療措置をして将来に備えるというもので、医学的には「社会的適応」と呼ばれる。社員のために卵子凍結の資金援助を行う企業も出てきている。これは「子どもが生まれる」という考えから、「子どもを作る」という考えへの転換を加速させるものだ。体外受精を進めることは、妊娠成立前に遺伝子検査をする着床前診断の利用を進めることにもつながるだろう。

今は卵子凍結を勧められないとする専門家もいるようだ。それは卵子の凍結や融解を経た妊娠で確かに妊娠できるのかどうか、まだ不確かだという理由もある。しかし、より根本的な理由も幾つかある。一つは今述べたように、「子どもを作る」方向への変化を加速させるということだ。これはデザイナーベビーの方へ近づいていくということでもあり、それは「いのちの選別」や優生思想に近づいていくことではないか。

もう一つ、高齢出産を今以上に奨励することにつながるということだ。保存した卵子を用いるなら妊娠を40代後半とか50代にまで遅らせることができるかもしれない。だが、子育てをする親の体力は大丈夫か。それは新たな人口減少の要因にならないだろうか。

若いうちに子どもを産み育てるのが人間の生命の構造にかなっていることは確かである。だが、それがしにくい社会にしてしまったのは、現代の人類である。私たちは目先の利益のために、いのちを軽視せざるを得ないような社会や文化をつくっている側面がある。そのような社会の在り方を変えていくことこそが真の課題である。

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