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第18回「涙骨賞」を募集 翠雲堂

見えざるものの力 死者との関係を取り戻す

2021年11月26日 11時08分

テレビなどで葬儀社のコマーシャルが目立つ。多死社会が確実に進んでいることを思わせるが、軽い負担を強調するキャッチコピーは耳当たりがいいだけで、薄っぺらい。世俗化した大都市には死者の居場所が見当たらないのだと、かえって感じさせる。

しかし一方で、特に東日本大震災をきっかけに、末木文美士氏をはじめ、「死者」の問題を新たな角度から哲学的・宗教学的に検討する動きも目立ってきた。近刊の高橋原、堀江宗正両氏の共著『死者の力』もその一つ。副題の「津波被災地『霊的体験』の死生学」が示すように、震災後に語り続けられてきた幽霊目撃譚とその意味にアプローチしたものである。

未曽有の災害体験を通し、合理的説明を超えて、「死者の力」が人々を支えてきた「現実」がある。多くの宗教者にとってその霊的体験は、安易に力説はできないが、無視できない、そして恐らく大きな意味を持つ現象だ。

同書は「死者」の特徴としての「他者性」「人格性」「社会性」を挙げ、これが死者と生者の「連帯」を成り立たせる契機となると説き、「死者の民主主義」という観点を紹介する。死者は葬儀と共に単なる記憶として社会の外に押しやられるのではない。生者は死者と関係を保ちつつ伝統や社会を構成する。その点で死者との共同が深い意味を持つ。被災地の霊的体験の語りはそのような死者の力、社会性に目を向けさせる。

末木氏が若松英輔、中島隆博、安藤礼二、中島岳志の4氏と行った座談会が基となる『死者と霊性』も死者との関係を見据えつつ、副題にある「近代を問い直す」という大きなテーマに迫る。

近代の合理主義が築いてきた文明の行き詰まりで、「生死」という人間の根本的問題が実は何ら解決していないことが浮き彫りになってきた。近代が切り捨てようとしてきた「目に見えないもの」との関係をどう再構築するかが今や重要な課題だ。これは宗教に大きく期待される部分である。

中島岳志氏は政治学の立場から「死者の立憲主義」という見方を示す。憲法の根底には死者(先人)の経験知がある。それを継承し、時には微調整を加えることが立憲主義であり、そこで我々は死者のビオス(社会的な生)と交わる、という。今日、疎かにされがちな仏事を立て直すことこそが、立憲主義や民主主義を立て直すことにつながる、という氏の議論もそこに関わってくる。いずれにせよ、私たちの社会は何かを忘れようとしてきた。今それを取り戻すのは宗教の役割なのだろう。

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