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翠雲堂

情報のTsunami 救済は全人的知に基づく

2021年12月3日 16時45分

今日、2・5京バイトのデータが日々新しく生まれている。1京とは1千兆の10倍、まさに天文学的な数字だ。アンデシュ・ハンセンは『スマホ脳』の中で「情報のTsunami」と形容した。毎分1億8700万通のメールと3800万通のチャットが送信され、400時間分の動画が「ユーチューブ」にアップされる。

もちろん一人の人がこれだけの情報に毎日接しているわけではない。しかし、1日3時間スマートフォンを使っていれば、その3時間は情報の奔流の中に身をさらしていることになる。通勤電車の中では、立っている人も座っている人も一様に下を向いてスマホを操作している。彼らのことを中国語で「低頭族」と呼ぶ。

人間の認知能力は本来、外界の変化に対応してなされる。実はそこで行使される情報処理は膨大なものであり、人類は野外では間断なく注意を働かせてきたから今日まで生き延びてきた。そういう注意力がスマホ画面ばかりに集中しているのは危ういことだ。生の世界の情報よりも画面上のデジタル情報に影響を受け、しかも慢性的な情報中毒状態に陥っているのが現代人である。それは確実に心身の能力に悪影響を及ぼしている。

洪水のようなデジタル情報の中にあって、知識として定着させるに値する情報は微々たるものだ。情報それ自体は心身の栄養とならない。そうなり得るのは本来、生きる上で欠かせない力を生み出すような、身に付いた知識である。現代人が回復させるべき知の在り方こそ、まさしくこうした身体知である。

宗教は古来、修養や修行という形でそのような身体知を涵養してきた。修養や修行のない宗教は知的観念や教養にとどまり、真の意味で救済知とはならない。救済はその人の心身に即した形で成就して、初めて全人的な救済となる。そして宗教者は人々に神仏の力を賦与するため、手を貸す役割を担う。そのためにも、宗教者自身が教えを身体知として血肉化していることが大前提となる。宗教者が各自の教えに基づき、日々勤行を欠かさず精進に勤しむのは、その故である。

コロナ禍を契機として、オンライン化の流れは宗教界でもほぼ定着してきた。宗教による救いのメッセージはデジタル情報の形で拡散されているが、そのこと自体はいわば救済のとば口であるにすぎない。本来の救済はどこまでも心身に即した全人的なものである。宗教者がこの一点さえ掴んでいれば、自らの存在意義を見失うことはないだろう。

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