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宗教文化講座 翠雲堂

外国人労働力 社会の一員の視点を

2021年12月17日 11時59分

日本は人口自然減社会になったといわれる。しかも、それは「千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少」(国土交通省国土審議会資料、2011年)であるという。今の傾向が続けば、今後100年で人口は100年前の水準にまで戻る。

明治時代後半の平均寿命は42~43歳で、全人口中65歳以上人口の比率(高齢化率)はわずか5%程度だったが、80年後には高齢者が約4割を占めると予想される。高齢者の就労年齢が上がっても、労働者の絶対数は減少が避けられないだろう。

日本の社会が企業の経済活動と市民の生活水準を維持し、「経済を回す」(よく言われる言葉を使えば)ためには、海外からの労働力補充が避け難い選択となる。すでに、技能実習生などの名目で東南アジアから労働者を招いている。多くの外国人労働者を雇う大工場がある地方都市では、食文化や風習の浸透を印象づけられることもある。

そこには少子高齢化社会である日本の特殊な事情が存在し、グローバル化の一事象でもあるのだろう。しかし、経済的理由で技能実習生などを労働力として迎えても、社会の一員として受け入れる体制は日本ではずいぶん立ち遅れている。

アジアの留学生を受け入れる別科を設けた宗門系の某大学で、学校法人の評議員らが留学生の生活の支援に立ち上がった例があった。職を失い行き場をなくした技能実習生の駆け込み寺になっている寺院や、困窮する外国人を支援する宗教者などの団体の活動も本紙で紹介されてきた。

国は経済界の要請を受けて外国人労働者受け入れの門戸を徐々に広げてきた。インターネットを見れば、外国人の受け入れのノウハウを指南するという広告も目立つ。しかし、雇用トラブル回避の配慮はあっても、雇用主が調整可能な労働「力」としての効用という発想が優先しているように見える。新自由主義経済の中で浮かび上がってきた非正規雇用者の境遇ともつながる問題だ。

日本人と外国人は別、と言い切れる人はいないだろう。外国人技能実習生などが日本にいる期間は限られているとしても、その間は社会を構成する一員にほかならない。国は社会の一員として遇する視点を欠き、そこで生じる矛盾からの救済はボランティアや民間の善意に依存する部分がまだ多いのではないか。こうした問題の対応がボランティアの役割、民間の美談として語られる状況を、日本の社会は脱しなければならない。

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