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宗教文化講座 翠雲堂

いのちの尊厳 命を作り変える技術への危惧

2022年2月4日 14時03分

今年1月、米国でブタの心臓などの臓器を人間(ヒト)に移植する手術が行われたと報道された。これまで報道されることが多かったのは、ブタのからだの中に人間の心臓を埋め込む、つまりヒトとブタのキメラをつくろうというプランだったが、このニュースはゲノム編集技術を用いて、ブタの心臓から人間の免疫反応に関わるものを取り除くことでブタの心臓を人間に移植する異種移植というものだ。

今回は移植される対象者がほかには助かる見込みがないので行ったと伝えられている。そうだとすれば、危ういことを承知でなされている人体実験という性格が大変色濃いものとなろう。異種移植とキメラは異なるものだが、ヒトのからだの中に異なる動物種のかなり大きな一部が入り込むという事態は人類の歴史上、初めてのことである。

1996年にクローンの羊が生まれ、98年にヒトのES細胞(胚性幹細胞)の培養に成功し、2003年にはヒトのゲノムの解読が完了、12年にはクリスパー・キャス9によるゲノム編集技術が創出された。ゲノム解読の速度は急速に速まりコストは低下し、体外受精や着床前検査による選別も急速に増えている。ヒトの生命をつくり、選び、また組み替える技術が非常に速い速度で進んでいる。

ヒトの生命が助かる可能性が拡大していくことは、もちろん歓迎すべきことだ。しかし、多くの懸念も伴う。一つには、どこまで安全なのかという問題がある。思わぬ結果を引き起こす可能性がないか。それもすぐには分からず、長期的によくない副反応が出てくることも考えられる。予期せぬ危険や弊害を防ぐための十分な研究はなされているのだろうか。

それ以上に大きな問題なのは、こうした生命操作の進展によって人間の生き方や社会の在り方、そして価値観にも大きな影響が及ぶのではないかということだ。いのちの尊さの感覚そのものが変化していくことはないだろうか。授かるはずのいのちを親が選んだり、つくったりすることは親子の関係そのものを変えてしまうのではないか。「かけがえのないいのち」という感覚が失われたり、「もっと幸せになる」ための心身改造が進んだりしないだろうか。

こうした問題は科学技術を革新させていく科学者だけに任せてよいことではない。社会全体で考えていくべきことだが、そこで宗教が果たす役割も大きい。「いのちの尊さ」についての考え方は、宗教抜きにして深めていくことはできないはずだ。

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