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宗教文化講座 翠雲堂

不安定な対中関係 問われる仏教界の対応

2022年2月22日 12時54分

少し前まで中国を「一衣帯水」の隣国と言った。日本の侵略という不幸な歴史を巡り、両国で時に複雑な感情の衝突はあっても、2千年の交流の重みを覆しはしなかった。長く培った友好に仏教が重要な役割を担い「一衣帯水」にはほかの国との関係に見られない深い意味合いがくみ取れるという。

そんな関係が国交正常化50年を迎えた今、政治が主導する形で厳しく敵対する間柄へと突き進んでいるようだ。中国の軍事的脅威や伝えられる深刻な人権抑圧問題など懸念材料は山積するが、中国封じ込めを策する米国に寄り添ってばかりではリスクが大きい。北京冬季オリンピック・パラリンピックの後の展開次第で、仏教界の対応が問われる事態も想定される。

米中対立と関連し、米国の国際政治学者が「戦争はしばしば台頭する新興国が覇権国を脅かす存在になると生じる」という説を著書『米中戦争前夜』で論じている。古代ギリシャで、新興国アテネの興隆に覇権国スパルタが恐怖感を抱いたため起こったとされるペロポネソス戦争をモデルに、現代の知見から導いた仮説である。著者は戦争へのプロセスを、従軍したアテネの歴史家の名をとって「トゥキュディデスの罠」と言った。

興味深いのは、実はアテネもスパルタも本当は戦争を望んでいなかったらしいことだ。周辺国の争いが火種になり、互いに引けなくなって開戦に至ってしまったという。それが「罠」の本質といえそうだが、同書は現代に当てはめ東アジア諸国、特に日本の動きが米中間の軍事衝突の可能性を高める、と婉曲な表現で警告する。

同書の原著出版は5年前だが、現在、日本では中国の強大化を息苦しく思う人々のナショナリズムが高揚し、その潮流に乗る復古主義的政治勢力が改憲論をリードしている。気掛かりな動きである。

振り返れば、戦後の日本が主権を回復した1952年、中国の仏教者から日本の仏教界に薬師如来坐像1体が贈られ交流が始まった。日中国交正常化の20年前である。以来、戦時中に強制連行された中国人の遺骨送還事業をはじめ、連綿と積み重ねてきた交流事業は大変な件数だ。中国の文化大革命中の67年に設立した日中友好宗教者懇話会の趣意書は「日本民族の永遠の繁栄を願うなら、日本と中国が再び戦うようなことがあってはなりません」と誓った(『日中仏教交流 戦後五十年史』から)。

戦後の閉塞した日中関係に風穴を開けた先達仏教者なら現在の状況にどう対応するか。今の仏教者が問われている問題でもある。

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