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宗教文化講座 翠雲堂

社会に必要な余力 仏教は心の余裕を与える

2022年3月16日 13時00分

コロナ禍の第6波では、高齢者に重症化や死亡事例が増えている。深刻なのは大阪府だ。保健所が逼迫し、医療体制も限界に近づいている。そこで吉村洋文知事は先般、高齢者やその同居家族に対し、混雑した場所など感染リスクの高い場所への外出自粛を要請するに至った。

しかし大阪の場合、忘れてはならないのは、二重行政の弊害を無くすという急進的な政策が、保健医療体制を弱体化させたことだ。人口270万人の大阪市なのに保健所が統廃合されて1カ所だけとなり、PCR検査が追い付かず感染拡大に拍車を掛けた。公の機能の不備を民の自助努力で補おうというのは、そもそも無理がある。

行政の無駄を省くと称した合理化改革がコロナ危機で裏目に出てしまった。一見無駄と思われたものが実はいざというときの余力となる。二重行政を無くす行政改革を人々が支持した背景には、公務員は高給を得ている等の官民対立を煽る言説が流されたことも少なくない。そして身を切る改革として、いつの間にか余裕の無い地方行政をつくり上げてしまい、社会にも不寛容な雰囲気が生まれた。

こういう時に、もっと仏教で言う中道の教えが行き渡っていたらと思う。仏教はどちらの極端にも走らず、真ん中の道を歩むことを教えてくれる。不必要な部門は確かに削る必要があろうが、住民の命や健康に関わる部門は余力を確保しておかなくてはならない。それを見極めるためには、人々が普段から心に余裕を持ち、行政と自分たちとの関係を冷静に確認していく態度が求められる。

心の余裕というのは暮らしの余力と言ってもよい。災害時の備蓄食糧のように、普段使用しないものが非常時に力を発揮する。普段からゆとりなく皆が一斉に働いている社会は、実は脆弱な社会である。一斉に働くから限界を超えると一斉に疲れて、命や健康を守る基本的な部分までも機能しなくなり、それが社会的弱者にしわ寄せをもたらすのである。仏教が警告を発すべきは、そのような極端な社会だ。

仏教の布教伝道とは、文字通り仏の教えを布き、中道の道を伝えることである。それはいわゆる仏教信者の勧誘ではなく、まずもって仏教の精神を世の中に広めていくことである。仏教とは一見関係のないように見える社会や政治の問題であっても、中道の見方や寛容な姿勢といった心の持ち方が、これらの問題に深い影響を与えるのである。その意味で、僧侶による社会啓発の役割はとても大きいと言えよう。

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