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宗教文化講座 翠雲堂

ウクライナ危機に学ぶ 暴力に抵抗する人の心

2022年4月1日 16時11分

他者による理不尽な権利侵害に遭ったとき、それを受け入れては自分一人で償いきれないものを失うと感じると、人は命を賭しても抵抗の道を選ぶ。アルベール・カミュの哲学書『反抗的人間』を引きながら、神戸女学院大名誉教授の内田樹氏が自身のブログでそう論じている。償いきれないものとは権利や自由であり、万人と共有するそれら「善きもの」を自分の命より上に位置付けているからこそ人は時に反抗のうちに死ねる。

カミュのこの主張を受けて内田氏は、強大なロシア軍に抵抗するウクライナ人やロシア国内で「反戦」を唱える人々が命懸けの行動に出る理由を「愛国心」と語る場合も、本当はそれより上位の価値のために戦っているのだろうと述べる。なぜならウクライナに対し人ごととは思えぬ切羽詰まった共感の輪が世界中に広がったことの説明がつかないから。人は他国民が「愛国心」を叫んでも、さほど感動を覚えるものではない。

ロシアの軍事侵攻を巡り、両国間の複雑な関係や国内事情などから、最悪の事態に至った責任の一端はウクライナにもあるという指摘も一部で聞く。だが、ロシア側の婦女子を選ばぬ無差別な砲爆撃やすさまじい都市破壊、数百万人の難民の悲しみを見て、今はただロシアの非道を1日も早く停止させたいと願う。同時に理不尽な軍事行動に抗する側が敗れたら、内田氏も指摘するように歴史に培われてきた人類普遍の何か大事なものが失われないかと恐れる。

もとよりウクライナ危機は日本も無縁ではおれない。懸念材料の一つが沖縄の基地機能強化への要求が強まりそうなことだ。ただ、忘れてはならないことがある。70年前の4月28日、日本は主権を回復し、代償として沖縄などが本土から分断され米国の施政下に置かれた。主権回復の時、ある全国紙が1面コラムで「『一つの日本』であり得たことは何物にも換え難い仕合せであった」と記したが、沖縄には本土側のこの感覚が構造的な差別の起点と映る。分断後、沖縄で米軍は新たな土地を接収し基地を拡張していった。50年前に本土復帰して以降も状況は大きく変わらず現在に至っている。

沖縄もウクライナも、軍は暴力であり戦争のために存在するという事実を突き付けられている。米軍基地が集中する沖縄の心も、反基地運動も、初期仏典が説く「己が身にひきくらべて」考えないと深い理解は難しかろう。国の安全保障を沖縄任せにして良しとする安易な政治。それをただ傍観することは、もう慎みたいものである。

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