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宗教文化講座 翠雲堂

震災の教訓忘れず 日常の地道な防災教育を

2022年5月9日 11時02分

東日本大震災から11年のこの3月に相次いだ大きな地震で、被災地の人々は「あの時」をいやが応でも思い出した。震災当時に甚大な被害があった岩手県大槌町吉里吉里地区では、山の中腹にある曹洞宗吉祥寺に両日とも深夜に住民たちが避難してきた。16日には家族連れなど20人余りが避難、18日にも車5台ほどで避難者が集まった。髙橋英悟住職や支援スタッフが本堂や寺の会館に照明と暖房を入れて受け入れ準備をした。

特に大きな被害もなく津波警報発令にも至らなかったが、住職らは「油断しないように」と備え、避難所で翌朝まで待機した。そこで特筆すべきは地元の子供たちの行動だった。小中学生たちが暗い中を率先して坂道を駆け上がって避難し、家族や近所の高齢者たちにも声掛けした。加えて、夜中に寺の梵鐘をついて地域全体に注意を呼び掛けたのだ。安政南海地震津波の際に稲に火を放って危険を知らせ村民を救った「稲むらの火」の逸話も想起させるが、これは地道な防災教育の賜物だった。

同寺では震災の教訓を防災意識向上につなげるために様々な取り組みを続け、昨年7月からは毎月の「寺子屋」の形で子供らにも勉強会を開催。30人ほどが坐禅の後に住職や消防団員らから当時の惨状や避難の方法などを聞いて学び、全員で鐘をつく練習も繰り返した。そしてそれぞれの家族で常に防災を話し合い、「今ここで地震があったら、てんでんこ(それぞれ)に高台へ逃げる」という意識を身に付けていた。

それが早速奏功したのだが、住職には悲惨な体験が風化するという心配もある。ある地区での防災訓練では震災当時かなり危険な状態になった小学校の校庭を避難場所にし、そこで炊き出しまでしたという。隣の釜石市鵜住居町で、普段の訓練で避難場所に使っていた低地にある2階建ての防災センターに住民が逃げ込み、百数十人が津波の犠牲になるという悲劇があったにもかかわらずだ。

「たった10年しかたっていないのに」と懸念する髙橋住職は「いろんな形で教訓を伝える必要がある」と、境内地に被災記録や防災についての展示をする「おおづち震災祈念堂」の設置計画を進めている。語り部や講座、被災地見学ツアーも実施している。

今後に大きな地震や大津波が想定される中で、住職は「二度と間違いは繰り返してはならない」と語気を強める。それはあの時、遺体安置所などで夥しい人数の死者たちに接し、供養し続けた宗教者としての苦難の原点に根差す信念だ。

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