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宗教文化講座 翠雲堂

公共領域の宗教 地域社会でケア活動関与

2022年6月8日 09時04分

2011年の東日本大震災では多くの人々が支援活動に立ち上がった。被災地に出向いて、ボランティアで地元の人々の苦難を少しでも和らげようと行動した。この災害支援においては、早くから宗教施設が重要な役割を果たし、宗教者や宗教団体による支援活動も注目された。そして、そこから臨床宗教師の養成という試みも立ち上がり、幾つかの大学で養成講座がスタートした。災害における宗教者・宗教団体等の支援は長い歴史を持つものだが、東日本大震災での支援活動は宗教の関与という点で、これまでとは異なる質を持っていたと評価されている。

1995年の阪神・淡路大震災でもボランティアによる支援活動は活発に行われた。だが、この時は宗教者や宗教集団による支援活動は目立たなかった。また、2カ月後には東京でオウム真理教地下鉄サリン事件が起きて、東日本はそちらの話題で持ちきりになり、震災支援の機運はやや後退した感があった。当時は、ボランティア活動は宗教者でなくてもできることで、宗教者がすべきことではないといった議論もなされた。

阪神・淡路大震災の時期から東日本大震災の時期へと変化してきたのは何か。一つには、公共領域で宗教が持つ役割についての考え方が変わってきている。政教分離を杓子定規に考えるのではなく、災害支援だけでなく医療やケアや福祉や教育などの領域で宗教が関与することを積極的に受け止める人々が増えてきている。宗教者や宗教団体もそのような関与を宗教の本来的な役割に含まれるものと考える例が増えている。

さらには、行政側もそのような考え方を受け入れる傾向が強まっている。災害支援や防災では行政と宗教団体が協力関係を意識し、その方向に歩みだす動きが目立っている。医療やケア、福祉などの領域ではどうか。寺院で介護カフェを開く例、寺院や教会で子ども食堂を開く例が増え、困窮者支援の活動に宗教者が参加する例も増えてきている。医療機関で宗教者が心のケアに当たる例もぽつぽつと出てきている。

今後、予想されるのは、地域社会でのケア活動に宗教者や宗教施設が関与を深めていく例の増加である。21世紀に入って、高齢者、障害者、困窮者、孤立しがちな人を施設に収容するというよりは、地域社会でケアをすることが求められている。そこに宗教者が関与することは自然な展開だろう。地域社会の公共領域での宗教の関与には新たな可能性がある。それは社会の多くの人々が宗教に求め期待している働きでもある。

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