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宗教文化講座 翠雲堂

難民・避難民1億人 日本は均衡ある対応を

2022年6月10日 09時20分

内戦を逃れ、ボートでトルコからギリシャを目指したシリア難民で3歳の坊や、アラン・クルディちゃんの水死体がトルコの海岸に打ち上げられたのは2015年9月のこと。小さなスニーカーを履き、波打ち際でうつ伏せになったアランちゃんの遺体の写真が国際社会に大きな衝撃を与えたことは記憶に新しい。地元トルコ紙は、その写真に「恥を知れ、世界」と激しい文章を張り付けた。

6月20日は難民への理解を深めるため国連が定めた「世界難民の日」だが、戦争と内戦・紛争、人種差別、宗教対立や災害に苦しみ、安心して暮らせる地を求めてさ迷う難民・避難民が後を絶たない。アランちゃん一家4人も過激派組織の支配を恐れ、カナダの親族を頼る逃避行だったが、ボートが転覆、父親だけが生き残った。

当時、イスラム圏などから人々が殺到したEU諸国などで反移民感情が高まっていた。正式に難民と認定されれば難民条約で保護されるが、移民との区別をつけにくい。アランちゃん一家もクルド人で難民認定を受けられず、危険な密航が悲しい結末を招いた。トルコ紙の紙面は、幼い命を守れない世界へのやりきれない憤りの表出だったのだろう。この悲劇でEU諸国などはいったんシリア難民の受け入れを広げたものの、困難な状況は今も続いている。そしてウクライナ危機の発生である。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は先日、世界の難民・避難民が初めて1億人を超えたと発表した。2020年末8240万人だったが、2月のロシアによるウクライナ侵攻で一気に急増した。ただ、同事務所はウクライナの避難民に国際社会の対応は「非常に好意的」といっている。

人々は市民を無差別に攻撃し虐殺するロシアの非道に憤激、その分ウクライナへの同情や共感を募らせている。だが、ウクライナ人に好意的な理由がもう一つあるようだ。テレビなどでおなじみのパトリック・ハーラン氏はニューズウィーク日本版で、欧米人には「彼らはシリア難民と違う。キリスト教徒で白人。私たちと同じ」という本音があると指摘する。端的に言って、そんな一面は否めまい。

『大無量寿経』の「無有好醜の願」は、己の半可通をわきまえずにいうと、そうした差別を戒めるものと解釈できる。日本は難民鎖国といわれて久しいが、ウクライナの避難民受け入れだけは熱心だ。もとより適切なことだが、イスラム圏やアフリカ、ミャンマーなどから救いを求めてくる人々にも均衡を失わぬ対応が望まれる。

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