相談から実質対応へ 急務のヤングケアラー支援
家庭などで家族の介護や世話に追われる「ヤングケアラー」への対策が各方面で論議され、自治体での条例化も進みつつある。病気や障がいのある親や高齢の祖父母を支える、親がいないか、あるいは役割を果たさない親に代わって年下のきょうだいなどの面倒を見る若年層で、国による中高生対象の全国調査では、回答者の4~6%、1学級に1、2人というかなりの率が該当した。
厚生労働省の小学6年生対象の調査では、ケアを始めた年齢は10~12歳が4割、7~9歳が3割と、早くからのケースが目立つ。ケア相手は「きょうだい」が7割と最多、次いで「母親」が2割。内容は「見守り」や「食事の準備や掃除、洗濯」など、頻度は「ほぼ毎日」が5割以上、日に1、2時間携わる子が多いが、7時間以上のケースもある。
行政の対応はまだ初期段階だが、民間ではいろんな動きが見られる。岡山では、弁護士やケアマネジャーなど地域包括支援センター関係者らが中心になって具体的な支援活動の組織づくりに入っている。目指すのは「頑張っている」子どもの背中を押すのではなく、その子が背負っている荷物を軽減する、つまり担っている家族の看護介護などを社会的サービスにつなげること。そして、孤立するケアラーにゆっくり心身を休める「居場所」を提供することも含まれる。
そのためにも、自治体で条例化して予算を付け、しっかり広報活動をして、苦しんでいるケアラーに相談を促す。そして前記のような社会サービスを機動的につなげ、セーフティーネットワークを張り巡らせることだ。
ただ、社会での問題の認知度がまだ高いとは言えず、例えば下の子の子守りなど、「そんなことは昔から当たり前」と「家庭内問題」の感覚もあるようだ。だがそんな青少年が貧困に追いやられ、クラブ活動はもちろん、学業さえおろそかになりがちで、生きる喜びも断念せざるを得ないというのが実態なのだ。
また、何か「頑張っている子」という間違った明るいイメージが世間から貼り付けられがちなケアラー自身も、「かわいそうな子だと思われたくない」と助けを求めることさえしない実情も分かり、学校では把握しにくいという。
かつては地域にそんな子がおれば声を掛ける「お節介な」隣人がいた。今、檀信徒の家庭事情を知る立場にある寺院や教会などの宗教者は、彼らに声を掛ける、あるいは具体的手助けは難しくともせめてSOSの声を支援機関につなぐことができるのではないか。