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宗教文化講座 翠雲堂

平和脅かす悪循環 TPNW不参加への危惧

2022年7月6日 11時08分

ウクライナで戦争が続く中、「核兵器禁止条約(TPNW)」の第1回締約国会議が21~23日、オーストリア・ウィーンで開かれた。被爆国日本の政府は不参加で、その理由について外務省の軍備管理軍縮課長は「核兵器国の関与がないと核軍縮は進まず、核禁条約には核兵器国が1カ国も参加していない」と答えた(朝日など)。

核拡散防止条約の重要性を強調するのはいいが、核保有5大国に優位な立場を与える同条約で、現実には核拡散を防ぐことはできていない。核兵器による大量殺戮、人類絶滅を防ぐには核兵器そのものを廃絶するしかない。そのためのあらゆる努力が必要である。なぜ、日本政府は核兵器禁止条約に署名しないのか。

核抑止力論の根底にあるのは相互確証破壊の概念である。核兵器の先制攻撃を受けた側が、残された核兵器で報復し、互いに国家存続が不可能になるという状態――自滅への恐怖が核兵器の行使を抑止するというわけだ。ただ、ロシアのプーチン大統領は核兵器行使の可能性をちらつかせた。核の脅迫は想定外のきっかけでエスカレートする。核抑止力論は危うい基盤に立っているように見える。核攻撃抑止のため日本自体の核武装を唱える意見も一部にあるが、国民の安全より国際的緊張を高めるマイナス効果が大きいだろう。

ところで最近、ロシアによるウクライナ侵攻が長期の消耗戦になるという観測があらわれている。これに関連し、気になる報道があった。ローマ教皇フランシスコが、ウクライナの戦争は「何らかの形で誘発されたか、あるいは阻止されなかったのだろう。兵器のテストや売却に関心が向いている印象も受ける」と語った(CNN)という。

戦争長期化で人命の犠牲はもとより武器の消耗も激しく、ウクライナは防衛のため欧米に武器補給を要請している。世界第2位の武器輸出大国ロシア(1位は米国)も輸出に支障が出て、同国からの武器輸入国は対応を迫られているとの報道も見受けた。巨大な国際武器市場にとって戦争は最大のビジネスチャンスだ。「兵器のテストや売却に関心が向いている」という指摘は無根拠の放言ではないだろう。金と人命を秤にかけた取引が戦場の裏で繰り広げられる。

政府は核兵器禁止条約署名を拒否する一方、防衛費を約2倍の国内総生産(GDP)比2%に増やす「骨太の方針」を打ち出した。世界の平和・安全を脅かす悪循環に同調した動きに見えるのは大いに残念だ。核兵器は悪と断言できる立場の宗教の姿勢も問われる。

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