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宗教文化講座 翠雲堂

安倍元首相狙撃 暗い世相の予兆を危惧

2022年7月26日 08時58分

安倍晋三・元首相が選挙遊説中に銃で殺害されるという、信じられない事件が起こった。この白昼の蛮行は断じて許し難い。犯人は安倍氏と関係があったとする統一教会への怨みを語ったという。詳しい動機や背後関係の有無などは明らかになりつつある。

犯人は政治的動機を否定しているが、まるで昭和初期の政治テロを想起させる事件だ。戦前の日本はこの時期から雪崩を打ったように戦争に突き進み、暗い時代が昭和20年8月の敗戦まで続いた。もちろん今では時代は大きく変わり、戦後77年が経過して民主主義も定着している。この事件によって、軍靴の音が再び聞こえてくることはないと信じたい。

だが平成以降30年余り、日本では長期不況が続き、格差社会や無縁社会という言葉が語られ、経済および人間関係の両面で国民の分断が広まった。令和に入って今度はコロナ禍の襲来、ロシアによるウクライナ侵攻、さらには世界的な食糧危機の恐れなど、国内外の状況は多難なものがある。そんな今こそ、政治家と国民との間の風通しを良くし、人々の信託に応える政治が希求される。

では、宗教はこの世相をどう見るべきか。宗教の眼差しで見たとき、まず何よりも国民の分断を埋めることが不可欠だと気が付く。風通しを良くすべきなのは、私たち自身がつくる社会の在り方そのものでもある。それは政治家だけの責任では決してない。

社会から取り残され、人知れず悩みを抱えて、孤独に暮らしている人は少なくない。痛ましいのは毎日のように報道される鉄道の人身事故のニュースだ。それはまさに、孤立無援の人々が追い込まれた苦境の一端を示している。そんなときに気軽に門を叩き、相談できる宗教者が身近にいれば、どれだけの人が救われるだろうか。

宗教もまた世の中に積極的に関与する。ただ、その関わり方は社会そのものの改革、世直しへと向かうというより、むしろ「地の塩」として人心を浄化する生き方を示し、自らが置かれた場所で「一隅を照らす」姿勢で人々に寄り添うところに宗教者としての本領があると思う。そこに、政治とはまた違った仕方で世の中を変えていく宗教の社会的使命がある。

生きづらさを抱える人々が多い世の中、宗教者とりわけ仏教者の役割は、ただ誰もが持つ仏性を開発し、光を投じるだけにとどまらない。ここから更に一歩進み、そうした人々にも世の中で輝いてもらえるよう働き掛けることが期待される。この営為こそ本当の仏国土の建設につながるはずだ。

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