PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
新規購読紹介キャンペーン
PR
2024宗教文化講座

戦争遂行の危険な理念 宗教者が対立を煽るな(8月4日付)

2023年8月8日 09時46分

浄土宗平和協会がこのほど発表した『浄土宗「戦時資料」に関する報告書』が話題になっている。近現代における教団の戦争協力の歴史を検証し宗門の立場から総括したものとして注目される。本紙によれば、1894年の日清戦争開戦直後に宗門が発行した兵士向けの小冊子には「未来の帰着は、全く弥陀仏に打任せ、此身は飽迄君王に捧げ上るべし」といった記述もあるという。

仏教の戦争協力については、古くは市川白弦の研究などが知られ、近年ではブライアン・ヴィクトリアの『禅と戦争』も注目されたが、宗門が自らの過去の戦争協力の検証に取り組んだことが意義深い。教団として、平和のための活動を前進させる基盤となるだろう。

ところで、いま世界中を巻き込みつつあるロシアのウクライナ侵攻では、宗教の戦争協力について憂慮すべき状況が進んでいる。プーチン大統領の盟友といわれるロシア正教会のキリル総主教がロシアの侵攻について宗教的、文明論的意義付けを強化し、海外へ向けても喧伝し始めていることだ。

ロシア正教会の公式サイトによれば、現在の武力紛争は「神によって確立された生活の基盤からさらに遠ざかる文明と、それを維持しようとする文明との間の、より大きな地球規模の文明紛争の反映である」とするのがキリル総主教の「信念」だという。

これは7月17日の同正教会の主教会議での発言として伝えられたものだが、27、28日にロシアのサンクトペテルブルクであった第2回ロシア・アフリカ首脳会議の関連フォーラムでも文明紛争の持論を展開。「圧倒的多数のアフリカ諸国が、いわゆる同性愛の結合、安楽死、その他の罪深い行為の立法化に強く反対していることを私は知っています」と述べ、「西側の特定の勢力によって強制された」「危険な精神的および道徳的風潮」に抗するロシアとアフリカ諸国の共闘を呼び掛けている。

宗教的対立、文明の衝突を特に強調する「聖戦」論であるが、ロシア正教会の公式サイトを観察すると最近目立つ。同じ演説でキリル総主教は「宗教間の敵対を扇動することも、今日の政治で使用される凶悪な手段」と、恐らく「西側」を想定して批判している。その攻撃はむろん自らにそのまま跳ね返ってくる。

かつて日本でも「大東亜共栄圏」のように戦争遂行の理念が力説され、宗教界もそれに加担したことがあった。キリル総主教が説く「文明の紛争」はそれを連想させる。宗教者が率先して対立を煽ることは直ちにやめるべきである。

AI技術暴走の危惧 宗教界からの倫理提唱(2月28日付)3月1日

Chat GPTや画像生成などAIは私たちの日常生活にも存在感を高めている。最近は入力した言語からリアルな画像を生成できる機能が話題になった。今のところ、利便性の向上が注…

瞬発力ある災害支援 日常からの行いが奏効(2月23日付)2月28日

今なお多くの被災者が避難や悲惨な生活を余儀なくされている能登半島地震。現地に行くと、様々な宗教者たちの支援活動が活発だ。東日本大震災のように遺体安置所での弔い活動があまり…

過疎地置き去りの悲劇 東京一極集中の裏返しだ(2月21日付)2月22日

普段は気付かない理不尽な世のありようが災害時に可視化されるという経験則が、能登半島地震でも顕著に表れた。被害の深刻さが判明するのに日数を要し、従って被災者救援の初動も遅れ…

執務方針演説を行う池田総長

本願寺派新しい「領解文」 唱和推進、事実上撤回 「宗門の混乱長引く」と総長 拝読・唱和は寺院ごとの判断へ 定期宗会演説で言及

ニュース3月1日
園城議長㊨に署名を手渡した「考える会」の運営メンバーら

新しい「領解文」 唱和推進即時停止を 本願寺派有志、9106人の署名提出

ニュース3月1日

寮員・相馬勧学が辞表提出 「同意した責任を痛感」 本願寺派新しい「領解文」

ニュース2月29日
このエントリーをはてなブックマークに追加