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2024宗教文化講座

地球沸騰化時代 いのちへの畏敬と叡智で(8月9日付)

2023年8月10日 13時34分

1945年8月にアメリカ軍によって広島と長崎に原爆が投下され多くの無辜の命が奪われてから78年。一人の人間が生きる期間にほぼ相当する時間が流れ、その間、何がどう変わったのか、変わらなかったのか。ウクライナに侵攻したロシアが戦術核兵器の使用の可能性さえほのめかしている状況は、私たちの子孫が生きてゆく世界への楽観を許さない。

毎年迎える暑い夏だが、今年は酷暑の記録を塗り替える勢いだ。国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化ではなく地球沸騰化時代era of global boilingだ」と述べた。観測史上最も暑い夏――といった言葉はマスメディアでも繰り返し語られる。母なる地球も我々に厳しい表情を見せ始めている。しかし、日本を含めCO₂を多く排出する大国、富裕国の生活スタイルは容易に変わらない。喉元過ぎればの例え通り「沸騰」化の危機感も夏が過ぎれば薄れるのが習いである。

こうした大量消費の文明の影響は地層にも痕跡を残しつつあるとされる。新たな地質年代区分として提案されている「人新世」がそれだ。プラスチックなど人工物や化石燃料の使用による堆積物などは地層に刻み込まれた人類の活動の証拠。「第6の大絶滅期」といわれる生物多様性の喪失などもいま目の前で進みつつある。

人新世の始まりをいつとするかは諸説あるが、最初の核実験が行われた1945年をそれに当てる見方がある。私たちの子孫もこの延長上で「人新世」の特徴を刻みながら生き続けてゆくことになるはずだ。だが、核兵器と共に始まった人新世は、核兵器や生物兵器等の行使によって突然終わる可能性も秘める。

カール・セーガン博士の提案でボイジャー1号が太陽系の果てから撮影した「ペイル・ブルー・ドット」という写真では、地球は小さな淡い光点であるが、そこで維持される安定した自然環境が私たちの生命を育んでいることを思えば改めて畏敬の念に打たれる。しかし、地球の外から見れば「安定」の範囲内と言えるわずかな気温変動でも気候は「沸騰化」し、豊かな社会生活の持続は脅かされる。

核兵器廃絶、地球温暖化防止などは、人類存続のための喫緊の課題なのだが、大きな視野のもと具体的な行動を継続するのはなかなか難しい。政治の決断や経済界の良識にどの程度期待できるか。そうしたレベルを超え、いのちへの畏敬に支えられた叡智によって導かれる必要があるのではないか。宗教の役割が問われるところだ。

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