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「8・15」に思う 防衛論議に欠けるもの(8月11日付)

2023年8月23日 09時25分

総力戦時代の戦争は、前線の兵士も「銃後」の市民社会も区別なく人が死ぬ。のみならず先の大戦では無謀な戦争に人々を駆り立てていく力が国民の内部からも働いて人々の不幸を助長した。今また近隣諸国との緊張が高まる中、その苦い歴史の一端を顧みておきたい。平和を語る上で欠かせない作業の一つと思われる。

戦時下の日本社会の雰囲気は、GHQ(連合国軍総司令部)民政局員だったベアテ・シロタ・ゴードン(2012年没)の著作『1945年のクリスマス』の以下の文章で、容易に想像がつく。

「出征兵士を送る日本の妻や母親は、人前では毅然とした態度をみせていても、台所の片隅で涙を拭っていた。そのことはみんな知っていても〈非国民〉という言葉の前には口を噤んだ」

ベアテは現憲法が下敷きにしたGHQ草案に「両性の平等」を書いた女性。1929年から日中戦争開戦後の39年まで日本で暮らし、その国民性を熟知していた。

〈非国民〉は、国を挙げて戦争を遂行する体制下で異端を排除する言葉として使われた。近年、耳にする「反日」と似るが、当時は住民組織の隣組などから当局に密告されることもあったようだ。一方で国家神道に依拠し、国に尽くす自己犠牲は称揚された。39年に発売された軍国歌謡「九段の母」の歌詞にも、それがうかがえる。

「こんな立派なおやしろに 神とまつられ もったいなさよ 母は泣けます うれしさに」「拝むはずみの お念仏 はっと気づいて うろたえました せがれゆるせよ 田舎もの」(部分)。靖国神社に祀る霊は「仏」ではなく「神」という建前を強調するため、地方から上京し思わず念仏を称えてうろたえる母親像を持ち出したものか。

戦時色が深まると、マスメディアの排外的な対立感情をあおる報道は激しく、国民は戦争協力一色に塗りつぶされていく。揚げ句に国力の差が20対1ともいわれた米国との「必敗」の戦争にのめり込む。太平洋戦争開戦時には「胸がすく思い」と喝采を送った知識人も少なくなかった事実は、今の世に多くのことを語ってくれる。

最近、近隣国の脅威に対抗する急激な防衛費増額に反対論があまり報じられない。安全保障を巡る論議でも、上述した「歴史の語り」は置き忘れられた感がある。戦争の可能性を暗黙のうちに受け入れている表れなのだろうか。

だが、戦争の「敵は殺す」規範は「不殺生」の戒めと相いれることがない。言うまでもないことだが、改めて肝に銘じておきたい。

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