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故人の遺骨の重い意味 あいまいな喪失に対し(8月23日付)

2023年8月25日 13時19分

東日本大震災の月命日、十三回目の盆を前に、岩手県の寺院住職から「朗報」と便りがあった。津波の犠牲になりながら、どこの誰か長く分からなかった遺骨の身元が12年以上を経て判明したのだ。行方不明の肉親を捜し続けていた家族が警察にDNA鑑定のやり直しを懇願し、遺族から採取したものとの照合で確定したという。

市福祉課から連絡を受け、個人情報は知らされないものの住職が「自分のことのようにうれしいです」と語るのは、震災当時、夥しい人数の遺体が収容された安置所で供養の読経を続け、無償の葬儀などで遺族を支え続けたからだ。

その際、行方不明の犠牲者は遺品などを骨壺に入れて葬式を営んだ経験から、故人の体が家族の元へ戻ることの重い意味を痛感したのだ。

その流れで、遺族の所へ帰れない身元不明遺体・遺骨の納骨堂設置を仏教会として行政に働き掛けて実現し、毎年の命日には懇ろに供養を続ける。今回身元が判明した遺骨は、その納骨堂で遺族に引き渡された。だが不明遺骨はまだ8体が残る。

災害や戦争などで遺体が行方不明の人の家族は、死が不確定であるにもかかわらず現実的には別れを経験する。これは「さよならのない別れ」と呼ばれる。「喪失」の悲しみが、それが不確実であることによって増幅される。

逆に認知症で人格の変わってしまった肉親を受け入れることが難しいなどの「別れのないさよなら」とを合わせて「あいまいな喪失」とされ、関係者の悲嘆はより複雑化、深刻化し、グリーフケアでも特段の配慮が重要だ。

74人もの児童が津波の犠牲になった宮城県石巻市の大川小で、まだ多数の子供の遺体が校庭跡に横たわる中を泥まみれで捜し回った父母らは、我が子を見つけると「良かったね」と互いに涙ながらに言い合ったという。「亡くなっているのに、ですよ。でも、子供に一目でも会いたいという親の気持ちはそうなんです」。そう言葉を振り絞った遺族の男性の悲痛な表情が忘れられない。

岩手の住職は一方で、身近に家族のいない生活保護の男性の福祉葬を同じ頃に引き受けた。枕経から葬儀まで無償で行ったが、生前に不仲だった遠方在住の親族らは、家の墓への埋葬も遺骨の引き取りさえも拒否したという。

「悲しい世の中ですね」。そう嘆く住職が、こういうケースも含めて“行き場”のない遺骨を寺で設営した合葬墓に葬っているのは、僧侶として死者の最期の尊厳を重んじるからだ。

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