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災害で見直される 地域コミュニティーの力(9月1日付)

2023年9月6日 09時47分

「危機」という非日常的な言葉が日々飛び交っている。国際社会の争い事が深刻化するさなか、気候変動によるとみられる大規模な山林火災、水害や渇水、猛暑など地球規模の異変に人々が不安を持つのは当然のことだ。仏教寺院も大被害を受けたハワイ・マウイ島の火災の惨禍は世界を驚かせた。

災害は多くの場合、複合的な要因で被害が拡大する。日本は地球上で起こるマグニチュード6以上の地震のほぼ2割が集中し、台風の脅威も身近にある。100年前の関東大震災を焼死者9万人以上ともいう大災害にしたのは、地震直後に発生した百数十カ所という火災が台風崩れの低気圧による強風にあおられたためだった。地震と山火事の違いはあるが、マウイ島の惨事と似た構図である。

関東大震災を教訓とするなら細心のリスク管理、危機管理を構想しなければならない。だが、日本社会は伝統的にそれを苦手とする国柄らしい。1995年の阪神・淡路大震災が好個の例だ。地質学者らが壊滅的被害の出る都市直下型地震の可能性を警告していたのに神戸市は無視、震度5想定の防災計画を進めた。大火災になったのは地震で水道管が寸断されたためだ。

人は安穏な生活が続くと信じ、忘れっぽくもある。34年、2千人以上が死んだ函館大火で寺田寅彦は「だれもが(大火を)夢にも思わなかったことにすべての惨禍の根本的な原因がある」と『天災と国防』に記している。

だが、市民に心の備えが足りなかったからといって、政治や行政が免責されはしない。原発事故を起こした東日本大震災は、日本の政治や企業の無責任さを象徴する事件として歴史に残るだろう。

首都直下型や南海トラフ地震のリスクを含め、誰もが被災者になり得る時代に市民は一体、どう向き合えばいいのだろうか。

東日本大震災の復興構想会議議長を務めた五百旗頭真氏は著書『大災害の時代』で、それを考える原点は阪神・淡路大震災の経験にあるという。この震災で倒壊家屋から救助を求めた3万5千人の約8割は家族や隣人に救出されたと推定される。また、生存救出率の高い地域には祭りがあるという話を引き、五百旗頭氏は「血の通ったコミュニティ」の存在が生死を分ける一つの要因としている。

東日本大震災の経験から、被災者の避難所として宗教施設が重視されている。もとよりその役割は重要だが、地域コミュニティーには核になるものが必要だ。その役回りを担う積極的な努力を、宗教者は求められているようである。

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