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2024宗教文化講座

地域への深い愛着 過疎地寺院の取り組み(9月8日付)

2023年9月13日 09時55分

この夏休み、滋賀県の過疎の集落にある寺に、子供たちや大人の歓声が響いた。同県甲賀市の浄土宗徳源寺の寺族たちによる、毎月の「ごはんの会」の催しなど寺を核にした地域活性化の大きな成果。各地に増える過疎寺にとっても参考になる事例だろう。

市街地から車で1時間近くの山間にある同地区は、4集落合わせても100軒程度、高齢化も進み、小学校は児童わずか17人だ。同寺も長く無住で檀家も少なく運営が困難なため、現在70代になる住職は勤めを持ちながら遠方の自宅から週末に法務に通っていた。他にも2カ所の無住寺院を兼務する。

転機は副住職が結婚して同寺に住み始めたことだった。夫婦とも初期仏教研究者で講師として京都の大学に通うが、せっかくの寺が「若い人は疎遠、お年寄りも何か用事で盛装してお布施を持ってでないと来ない」という状態を寂しく感じた。寺をもっと人々に親しまれる場にと、「敷居を思い切り下げて何もなくても来られるように」、夫人が中心になって7年前から様々な取り組みを始めた。

「ごはんの会」は一般的な「子ども食堂」ではなく、特に多い高齢者も子育て世帯も一緒になる全世代横断型の催し。寺族総出で食事を調理し、参加者に本堂で振る舞う。老人を副住職が送迎、育児世代やその子供らを含め毎回数十人が集まり、受け付けから配膳、片付けなどは参加者でする。それとは別に、見守りを兼ねた高齢者宅への弁当配食も続けている。

7月は恒例の野外餅つき大会に、近隣集落からもこんなに多くいたのかと思わせるほど子供が集まり、つきたての餅を食べながら高齢世代との交流が盛り上がった。8月もすっかり定着した4回の「寺子屋」で、工作や水遊び、夏休みの勉強に小学生が集った。仏教文化を学ぶ大人向けの寺子屋も盛況だ。

寺が、誰もが輝く居場所になっている。催しのたびに世代間、集落間のつながりが深まり、高齢者が児童や若い世代に昔からの遊び方や“生活の知恵”を伝授したり、母親同士が育児の悩み事を相談し合ったりする輪が寺を中心にできており、人々が気兼ねなく相談事に訪れることも多くなった。

住職は「これで、頼られる寺として役目が果たせるようになった」と語る。「大乗仏教とは、人のためになることをすることです。長く苦労されてきた皆さんと互いにこの地で死ぬまで付き合い、ここで生きて良かったなあと思い合いたい」と副住職。過疎でもここまでできるのは、それぞれの寺と地域にかける思いの熱さだろう。

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