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原発処理水放出問題 科学・情報のリテラシーを(9月15日付)

2023年9月20日 09時49分

東京電力はついに福島第1原発の処理水の放出を開始した。この先30年は続く海洋放出の始まりだ。これに中国政府が猛反発し、日本の水産物の全面禁輸に踏み切った。また、中国からの嫌がらせ電話が日本の官民施設に殺到した。一方、日本政府は処理水放出がIAEA(国際原子力機関)の安全基準に適合していることを強調。逆に中国の原発の方がはるかに大量のトリチウムを海洋に排出していることも指摘した。

ところが中国は、炉心溶融した核燃料に直接触れて漏れ出たトリチウムは正常稼働時に排出されたトリチウムと異なり、汚染されたトリチウムだと反論している。これには自国の原発による大量排出への批判をかわす狙いがあるようだ。確かに中国が科学的根拠というより、一方的に政治的主張をしていることは否めない。その意味で、日本側も的確な情報発信と外交努力を怠ってはならない。

ただし、我々国民は、政府や東電の主張を全くうのみにしてしまってもいけないと思う。まして中国憎しのナショナリズムに駆られることがあってはならない。我々には市民として可能な限り科学的な情報を精査し、事実検証を行っていくことが求められる。これこそが国民の科学リテラシーの課題であり、また同時に情報リテラシーの課題であると言えよう。

実際、トリチウム水は無害だとされているが、これが体内に取り込まれて内部被ばくをもたらす可能性も指摘されている。またALPS(多核種除去設備)処理水中のトリチウム以外の放射性物質は、単にその濃度が環境への放出に関する基準を下回っているだけで、それは決してゼロになったわけではない。微量とはいえ処理しきれない残留放射性物質は無害だと言い切れるのだろうか。

すでに宗教界では、キリスト教団体や超宗派による「原子力行政を問い直す宗教者の会」が処理水の海洋放出に対して抗議声明を出しているが、そこで問われているのがまさにこうした疑問である。これらの団体は独自に情報を精査して、あえて抗議声明を出すに至っており、その姿勢には敬意を払いたい。

我々が根拠に置くべきは科学的な明証性だ。そのためには丁寧な情報精査が必要で、それが市民として最小限押さえておくべきリテラシーなのである。新型コロナの問題でも様々な情報が飛び交い、その中には偽情報も相当含まれていた。宗教者もまた情報の真偽を見極めつつ、それぞれの宗教的信念に基づいた見識ある意見を表明していくことが求められよう。

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