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民主主義の危機 仏教も波をかぶる?(10月4日付)

2023年10月6日 10時24分

民主主義を、ごく簡潔に「選挙に負けた方が平和裏に去る政治制度」と言えば、大方の人は納得する。選挙の公正と結果の尊重がなければ民主主義は成り立たない。

米国では選挙による政権交代が建国間もない1801年、第3代大統領に就いたトマス・ジェファーソンにさかのぼる。だが、トランプ前大統領が2020年の大統領選の敗北を覆そうとして訴追され、世界に誇る米国の伝統に泥を塗った。その上、大統領返り咲きを狙い、4度もの起訴を大仰に「魔女狩り」などと主張し、逆に支持を高めているというから驚く。

いわゆる「トランプ劇場」はグローバル化に伴う移民・難民やムスリム、黒人、LGBTなど少数派への差別やヘイトクライムとの連動性が指摘される。ポピュリズムと称する政治手法だが、その影響は経済、社会や人々の精神世界にも深く浸透しているようだ。

民主主義による統治を疑う余地のない欧州諸国も例外ではなく、民主主義の危機という言葉さえ耳にする。筋の通らないことばかりがまかり通る時代状況故に、改めて民主主義の今日的意味を考えてみても無駄ではないだろう。

適切な教材がある。戦後1948年に刊行され、53年まで使われた文部省著作の中・高校用教科書『民主主義』がそれ。GHQ(連合国軍総司令部)の要請で日本の著名な法学者らによって書かれたが、民主主義の意外な本質を教えられる。今の世にふさわしい内容だ。

「すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である」と説き起こす同書は、民主主義こそが日本再生の道という熱意に満ちている。

人間の本質的平等や自由を核心とする近代民主主義と人の「苦」からの解放を説く仏教との親和性はよく聞くが、同書でも「自分自身を尊重するものは、同じようにすべての他人を尊重しなければならない」「自己の自由を主張するものは、他人の自由に深い敬意を払わなければならない」と、初期仏典を思わせる文章が目を引く。

同書はGHQの意向に沿い日本国憲法の啓発を主目的とするはずだが、制度よりむしろ心に重きを置く印象を受けるのは、軍国主義に迎合したことへの痛切な反省からなのか。欧米にポピュリズムが蔓延したように、民主主義は心によって変質する。今の日本社会の底を流れる心のありように目を向けるとき、同書が語る民主主義の精神性との深い隔たりを痛感せざるを得ない。それは人々の仏教への理解にも影響していよう。

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