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おれたちの伝承館 原発事故状況をアートで(12月15日付)

2023年12月20日 09時31分

「若い人たちの『負けないぞ』という心意気を感じます」と東京電力福島第1原発の事故に翻弄され続ける福島県の住職が讃えるのが、事故の被害や影響、衝撃を表現した若手作家の芸術作品を展示する南相馬市小高の「3・11&福島原発事故伝承アートミュージアム おれたちの伝承館」。絵画や写真、オブジェなど様々な手法で未曽有の災厄を伝える試みに、7月の開館以来、各地から多くの入場者が詰め掛けている。

略称「おれ伝」は、事故後10年以上も東京から現地に撮影に通い続けた写真家の中筋純氏が仲間のアーティストたちにも呼び掛け、原発問題をテーマとする作品群の展覧会を開いたのがきっかけ。東京をはじめ関東や北陸など各地を巡回した後に、避難で空き家になった小高の倉庫跡を常設館に改造した。21人の作家の計80点余りが展示されている。

入るとまず、帰還困難区域のバリケードと「立入禁止」看板を模した現代アート、長年町民の避難が続きゴーストタウン同様になった同県双葉町に掲げられていた「原子力 明るい未来のエネルギー」という皮肉な看板のレプリカ作品などが、いやが応でも事故後の悲惨な現実を突き付ける。傍にある、住民の強制避難中に家畜舎につながれたまま被ばくし餓死した牛の骸骨を和紙で再現した造形は、鑑賞者の胸を締め付ける。

奥には、爆発した原子炉建屋を怪物に見立てた不気味なコンピューターグラフィックもあれば、失われた故郷ののどかな自然風景を描いたアクリル画、躍動する生物たちの彫刻、人間文明の行方を問うような細密な写真や立体表現が2階までずらりと並ぶ。天井には「命煌めき」と題した巨大で色鮮やかなペイントが飾られ、屋外にも第1原発の方向を指し示す大きな矢印形の作品がある。

多くの表現者たちが自分の手段で精いっぱい問い掛けを発する熱気が伝わる。小高に転居し、まず建物の除染から始めた中筋氏は「仲間が力を合わせて開館できた。作品を見て、事故は一体何を問い掛けたのか、私たちはこの状況をどうすればいいのかを考えてほしい」と訴える。

震災と原発事故については小説や詩などの文学、映画や舞台など多彩な表現媒体で原発事故後の人間社会を描いた作品も発表されているが、被災現地で常設でアートを鑑賞できる意義は大きい。地元の住職は「まだまだ町に住民が戻らない中で、明日にかける人々の希望でもあり、事故体験の風化にへこたれないという抵抗の象徴でもあります」と語る。

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