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2024宗教文化講座

増え続ける災害関連死 命を大事にする国柄か?(1月10日付)

2024年1月12日 09時29分

能登半島地震は、大地の悪意をむき出しにしたような災害だ。過疎と高齢化が進む地域を事前に群発地震で脅し、その後も執拗な地震で疲弊した被災者を苦しめる。近年、災害のたびに復旧の遅れと避難所の劣悪な環境、避難の長期化で体調を崩す災害関連死が増加し命の軽視が問題になる。同じ過ちの繰り返しはもう許されない。

1995年の「1・17」阪神・淡路大震災でも、高齢社会を迎えた近代都市の弱点を露呈し、災害関連死が900人を超えた。高齢者ら災害弱者の支援が新たな政策課題だとの認識が乏しかった。東日本大震災では災害関連死が約3800人に上り、避難対策の改善が強く求められたが、2016年の熊本地震では災害関連死が死者の8割以上(226人)にもなった。もとよりその多くは高齢者だ。

そもそも災害弱者という言葉は国の防災白書1987年版から使われているが、国が真剣に災害関連死に取り組んだ形跡がない。

ほぼ全ての災害に人災的要素はあるが、災害関連死は助かった命を救えなかったという点で人災的側面は一段と強い。そんな社会のありようが、子どもたちの受難と重なって見えるという指摘がある。2022年度の子ども虐待件数は約22万件で過去最多を記録し、いじめ件数も過去最多。同年中に自殺した小中高校生は514人で、統計が残る1980年以降最多だった。子ども受難の世相と災害関連死とは、社会に向けて小さな声しか出せない命が軽視されるという意味で、地続きの関係にあることを見過ごせない。

能登半島地震は、地震予知(直前予測)の困難さを改めて浮き彫りにした。その検証は徹底しなければならないが、それに関連して気になるのは、30年以内の発生確率が70~80%という南海トラフ地震だ。死者数は最大32万人を超えると想定されている。

この地震の発生確率は科学的根拠が薄いと論争があるようだが、過去の記録から近い将来に南海トラフを震源域とする巨大地震の発生は避けられないだろう。ただ、問題は南海トラフ地震に関心が偏り、能登半島地震でも明らかなように、日本はどこでも大地震のリスクを抱えていることが等閑視されかねないことだ。また、災害の規模にこだわる机上の防災思考からは災害関連死への関心は生まれにくい。

東日本大震災で被災者に寄り添った宗教者には言わずもがなだが、災害はどれも死者があれば人々は深い悲しみに沈む。そのことを心に刻み続けてこそ、命を大事にする国柄と言えるだろう。

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