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インド仏教思想史(上・下)…ひろさちや著

2020年11月6日 16時30分
インド仏教思想史(上・下)

一般向けの仏教の解説書や仏教的な生き方をつづるエッセーの作者として知られている著者が約30年前に刊行した渾身の一作が復刊された。整然とした語り口で展開される独自の思想のドラマは、いま読んでも色あせてはいない。

従来の文献学とは異なる問題意識、とりわけ自らも当てはまる在家信者としての立場から、現在の問題と照らし合わせつつ過去との「対話」が進んでいく。いわば在家信者のための思想のドラマが展開されている。そのような問題意識が一貫しているため、「大乗仏教」と「小乗仏教」との対比もいっそう明確となっている。

できるだけ固有名詞や専門用語を避け、時に身近な話題を交えた例えもありながら、インド仏教の成立と展開が解説される。上巻では、根本仏教から大乗思想までを描写。下巻は『法華経』等の重要な経典や龍樹らの思想家、インド仏教の密教化の特質までを詳述する。

最後に著者は、インドの仏教が最終的にヒンズー教に吸収されてしまった歴史的事情を踏まえ「いま、日本において、わたしたちがただ世間的な利益のみを仏教に求めるならば、仏教は仏教ではなくなってしまうだろう」と警鐘を鳴らしている。

本体価格各2200円、佼成出版社(電話03・5385・2323)刊。

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