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パーリ仏教を中心とした 業論の研究…浪花宣明著

2020年11月21日 09時36分
パーリ仏教を中心とした 業論の研究

業(カルマ)の問題は、仏教の歴史を通じて多様に展開されてきた。無我や輪廻、宿業などの仏教の基本的な考え方とも大きく関係しており、そのことが問題をより複雑なものとしている。本書は業論について、上座部仏教におけるパーリ聖典を中心に、部派仏教との比較を通してその思想の全体像を解明しようと試みている。

特に「業」と「無我」の思想の関係は矛盾するものとみられ、紀元前2世紀のミリンダ王から現代の研究者に至るまで批判にさらされてきた。また「善因善果」「悪因苦果」の自業自得の思想として仏教徒の現実生活の倫理的基礎付けとなるものでありながら、一方で阿羅漢における業果の変化、あるいは消失という存在に関する問題でもある。

このように業に関しては、仏教のあらゆる時代に、あらゆる宗派・教派において論じられており、その教理の内容もさまざまに変化していく。時には、一見すると相反するのではないかと思われる説き方もあり、決して一筋縄ではいかない。著者自身も「業の研究には撚り合わされた縄の筋を一筋ずつ分けて、一筋ずつたどって行くことが肝要」と述べているように、本書は仏教が重ねてきたその考察の跡を丁寧にたどりつつ、論考を加えている。

本体価格各4200円、春秋社(電話03・3255・9611)刊。

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