これからの天皇制 令和からその先へ…原武史・菅孝行・磯前順一・島薗進・大澤真幸・片山杜秀著

本書は、門流や会派を超えて法華仏教を学ぶ法華コモンズ仏教学林主催の2019年度後期特別講座の内容を基にまとめた。6人の研究者がそれぞれの観点から、これまでの幕府と朝廷との関係、明治憲法下での国家神道、戦後における昭和、平成の天皇、そして、これからの天皇制まで多岐にわたって議論する。
評論家の菅孝行氏は現代も天皇制の権威への「信仰」が続いているとし、島薗進・上智大教授は国家神道の中心にある神聖天皇崇敬が今日にも生きていると示唆。原武史・放送大教授はひざまずき国民と同じ目の高さに合わせてきた平成における天皇・皇后のスタイルを紹介。片山杜秀・慶応義塾大教授は人間天皇と象徴天皇という矛盾の中で維持されてきた天皇の在り方が令和の時代には変化しつつあると指摘する。大澤真幸・元京都大大学院教授は選挙で選ぶ天皇制を提案する。
田中智学や清水梁山の日蓮主義的国体論が日露戦争後に登場し、近代になって日蓮仏教が国家主義化した。しかし敗戦以降、日蓮主義的国体論や「本門の戒壇」は説かれなくなった。東洋大名誉教授の西山茂・同学林理事長はそうした背景から「これからの天皇制」をテーマにしたと説明。天皇制の議論を通じて日蓮仏教の再歴史化を模索する。
本体価格2200円、春秋社(電話03・3255・9611)刊。