令和版 仏の教え 阿弥陀さまにおまかせして生きる…大谷光淳著

浄土真宗本願寺派の第25代門主で宗祖親鸞聖人の血脈を継ぐ著者が、先行きの見えない世の中で何を支えに生きていけばよいかを語った一冊。誰しもが感じる人生の悩みや素朴な宗教的疑問などを取り上げ、それに対する著者の考えをつづった。
著者は「かつてあなたが『見えている』と思っていた『先行き』は、本当に確かなものだったのでしょうか」と問い掛ける。コロナ禍で社会の基準や価値観が大きく変わりつつあることに不安や戸惑いを感じてしまいがちだが、無常を説く仏教の視点から見るとむしろそれらを不変のものとして捉えてしまっていたこちら側の誤りに気付かされる。
人はつらいことや悲しいことからはどうあがいても逃れられない。だからといって自らが強くなってそれらを克服しようとしても限界がある。困難な状況には柔軟に向き合って、しなやかに対応するしかない。そのためには絶対に揺らぐことのない安心感を与えてくれる拠り所、つまり宗教が不可欠ということになる。
著者は一人でも多くの人に、誰一人取り残さず救おうという阿弥陀如来のはたらきに出遇ってほしいと願い、浄土真宗の教えについて専門用語に頼らず、言葉を尽くして丹念に説いていく。
本体価格1300円、幻冬舎(電話03・5411・6222)刊。