名僧のことばでわかる仏教入門…釈徹宗監修

飛鳥時代の聖徳太子から江戸時代の良寛まで、各宗宗祖をはじめ日本仏教の礎を築いた僧侶30人の代表的な言葉を通して仏教の歴史を概観する。社会的背景から時代ごとの教えの特徴を説明し、言葉に象徴される思想や、その僧侶の生涯を解説する。
飛鳥・奈良時代は5人の言葉が取り上げられており、今年1400年遠忌の聖徳太子は「世間虚仮、唯仏是真」を引用して、晩年は政治から離れ仏の教えに慰められたのではないかと論じる。
1200年遠忌を迎えた伝教大師最澄は、人口に膾炙した「一隅を照らす」と共に「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし」から、僧侶として自らを厳しく律した姿勢を説明する。
降誕800年の日蓮聖人は、前執権北条時頼に提出した『立正安国論』の一節「汝早く信仰の寸心を改めて、速やかに実乗の一善に帰せよ(以下略)」が選ばれ、法華経中心の国づくりでこの世を浄土にしようとした思想を伝える。
釈徹宗・相愛大教授は巻頭のインタビューで、仏教には言葉を慎重に選んで使う傾向があるとして「考え抜かれ、選びに選び抜かれた言葉には、心と体をおだやかに調えてくれる作用があるはず」と述べている。
本体価格1180円、宝島社(電話03・3239・0927)刊。