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備前の児島・五流修験 -その歴史と伝承-…宮家準著

2021年10月25日 10時05分
備前の児島・五流修験 -その歴史と伝承-

「児島五流」は、瀬戸内海に浮かぶ巨大な島だった「児島」の新熊野権現に依拠した修験である。本書は熊野本宮の修験道から伝わる児島修験の歴史的展開、児島五流の成立、さらにその思想や儀礼、組織にわたる研究論文を収録している。瀬戸内海沿岸地域における熊野修験の伝播の跡をたどり、展開と拡充の全体像を明らかにした論文集だ。

山岳宗教のイメージが強い修験道、その中で熊野本宮を拠点とする熊野修験が、どうして西国の瀬戸内海の島々に伝わったのか。その伝承そのものが歴史のドラマであり、また宗教学者で修験道研究の第一人者として知られる著者が、児島五流の歴史を伝える修験道の寺院、五流尊瀧院の第37代住職を継ぐ修験者である点にも興味を引かれる。

児島五流の成立は、役行者の伊豆大島配流に起因する。5人の弟子が熊野権現の御神体を奉じて船で瀬戸内海を遍歴し、児島に上陸して権現を祭祀したと伝えている。これが新熊野権現である。

修験道は長く我が国の他界観、宗教観の根底に息づいてきた。著者の言うように、山岳修行による呪力の獲得とその行使という二面が不変のものとして歴史を貫通しているのなら、独自の歴史を持つ児島修験からも、その不変の力を知ることができるだろう。

定価7040円、岩田書院(電話03・3326・3757)刊。

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