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私は千の風になる 86歳終末の幸福論…菅野国春著

2021年10月26日 15時04分
私は千の風になる 86歳終末の幸福論

80歳を超えてがんの宣告を受けながら、がんと「闘う」のではなく手術せずに「放置する」ことを選んだ老作家のエッセー。来るべき死を泰然と見つめながら、安寧な終末期を生きるための考えをつづる。

著者の菅野氏は長年にわたる老人ホームでの入居経験を基に、高齢者の晩年の様子を数々のノンフィクションにまとめてきた。その中には安楽死を望む人、老いてなお性欲に振り回される人など、平坦な高齢者像とは異なる生々しい人物も多く登場した。

本書は、著者のがん治療への疑問を基に展開される。多くの患者は度重なる投薬や手術による回復を目指しているが、著者は「手術をしなければ、もっとよい終末を生きられたのでは」という思いを拭えないでいる。

近年日本人の寿命は大幅に延び「人生100年時代」といわれるようになった。人は治療で死期を遅らせるようになったが、著者に言わせれば高齢のがんは「人生の引退勧告」であり「これ以上頂上を目ざす必要はない」という「ご宣託が下された」のである。

本書を読めば、菅野氏が出会ってきた高齢者たちの安楽死への望みも、老いらくの性欲も、尊厳ある終末を願った結果に思える。著者が過去の作品で描いてきた人間観が、終末期の今作で結実しようとしている。

定価1760円、展望社(電話03・3814・1997)刊。

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