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富士川游の世界 医学史、医療倫理、そして宗教…桑原正彦・田畑正久編

2021年11月9日 15時06分
富士川游の世界 医学史、医療倫理、そして宗教

日本近代医療の黎明期に医療倫理や全人的ケアの重要性を先駆的に提唱した医師・富士川游(1865~1940)の顕彰を目的に刊行された。ビハーラ活動で知られる医師の田畑正久・龍谷大客員教授や富士川の出身地の医師会である広島県安佐医師会顧問(富士川游顕彰委員会長)の桑原正彦医師、富士川の孫の富士川義之・東京大名誉教授ら7人がそれぞれの立場からその功績を解説している。

富士川は広島市安佐南区の本願寺派門徒の医師の家に生まれ、広島医學専門学校卒業後、中外醫事新報社で医学雑誌の出版にも携わった。ドイツ留学後は日本医史学会など各種医学学会の創設に尽力する一方、篤信の真宗門徒として親鸞聖人賛仰会を結成して各地で講演会を開催。多くの仏教書も刊行して「医療と仏教の協働」への願いを体現した。

安佐医師会の公用封筒には現在も富士川が医療者の倫理観を示した「医箴十五カ条」の現代語訳が印刷されているという。田畑氏は「人間を丸ごと救う仏教」への富士川のまなざしを説明し、桑原氏は、医療者の「人格が宗教的であることを重大な条件とすべき」との信念を紹介。序文を寄せた横倉義武・日本医師会名誉会長は本書を通して「病気だけを救うのではなく病人の救いを考えることの大切さ」に気付くことへの期待を述べている。

定価1760円、本願寺出版社(電話075・371・4171)刊。

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