新版 宗教はだれのものか 三代会長が開いた世界宗教への道…青山樹人著

宗教とは、聖職者のための専有物なのか、それとも民衆のためにあるのかという根本的な問い掛けを書名にした本書は、創価学会の三代の会長がどのように世界や時代を見据え、具体的に行動し、その途上の度重なる妨害や困難を乗り越えて「世界宗教への道」を切り開いてきたのかをたどる。
牧口常三郎・初代会長は、日本の帝国主義が戦争遂行のため国家神道への忠誠を強要した際に、生命を賭してこれを拒絶し、国家の狭い枠を超えた。また師と共に投獄された戸田城聖・第2代会長は、その獄中で法華経を身読し「仏とは生命なり」「われ地涌の菩薩なり」と覚知した。凡夫が今世を生きる中で仏界を湧現し、自己を開花させ、他者への貢献を果たしゆく姿こそ仏法の真髄との確信は、その後の学会の信心の原点となった。
その弟子である池田大作・第3代会長は「人間主義の宗教」を世界192カ国・地域に広め、核戦争の淵にあった世界を駆け巡り対話で人々を結び、世界の知性と連帯して一大平和勢力を築き上げた。「一人の人間における人間革命がやがて全人類の宿命の転換をも可能にする」ことをその行動で示した。
本書では、歴史学者トインビーや各国の首脳、学識者、文化人らの証言を通して「人間主義の宗教」の普遍性を明らかにする。
定価1320円、鳳書院(電話03・3264・3168)刊。