希望の源泉 池田思想④…佐藤優著

プロテスタントで作家、神学研究者である著者が、創価学会の池田大作・第3代会長の著作『法華経の智慧』の解釈を試みるシリーズの第4弾。本巻は法華経の「従地涌出品」「如来寿量品」についての考察を収める。
従地涌出品の考察では、戦時中、治安維持法違反および不敬罪に問われて入獄した戸田城聖・第2代会長が、獄中で法華経を繰り返し精読し、唱題を重ねて思索した果てに「仏とは生命なり」「我、地涌の菩薩なり」と覚知したことに触れる。この獄中の悟達を池田会長が「法華経ゆえの投獄、難即悟達です。これこそ、まさに『日蓮と同意ならば地涌の菩薩たらんか』の御金言を身をもって証明された姿と言えよう」と捉えたことについて、著者は自身の入獄体験を踏まえ「大きな難の体験は、人間の信仰を深化させ、人生観を変える契機になる」と述べている。
如来寿量品の考察では「大いなる生命を、現実の我が身の上に顕していくのが寿量品の実践です」と語る池田会長の生死観について論じ、「生も歓喜、死も歓喜」というハーバード大でのスピーチの真意を解く。
また現実性と超越性、コロナ禍が浮き彫りにした「死を覆い隠す現代文明」の弱点などをテーマに、多様な視点から世界宗教化への飛躍を期す創価学会の思想の真髄に迫る。
定価1320円、第三文明社(電話03・5269・7145)刊。